2012年4月22日日曜日

'12新潟ロードレース出走記

 それは2年前。走ることが少しずつ楽しくなり始めた頃のことだった。
 桜咲く信濃川河岸で開催された新潟ロードレースの10マイルは、僕に走ることについて多くのことを学ぶ機会を与えてくれた。と書けば格好はよいが、それは今になって言えること。
 当時の僕はレースに出ることについてひたすら無計画に、まるで根拠も脈絡もなく、威勢の良いだけの青二才だった。良い言い方をすればチャレンジ精神が旺盛。初めて走る16kmという距離に対してまるで無防備だった。
 出たとこ勝負でレースに臨んだ結果、見事なまで仇となるレースとなった。練習や体調管理をおろそかにすると、それに見合った結果しかついてこないことを改めて教えられた。

 今回の参加はそのリベンジ的要素が少なからずある。あの忘れられない苦い経験からやや時間は経ってしまったが、あの頃とは比較にならないくらい「走る」ことに対して真摯に取り組むようになった。そして今回は5分/kmペースでの完走を目標に掲げて挑戦した。

 さて、レース内容である。
 スタートのトラック1周目の時計を確認した以外(ジャスト2分)前半は時計に気を取られず、気持ち良く、ちょっと息が苦しいかな?ぐらいの感覚を保つことを心がけ走った。
 わきまえず前の方からスタートしたので本川大橋あたりまで抜かれに抜かれまくった。自分の目標とするペースに準じているか不安を感じたけれど、出走したいくつかの大会で経験した中距離ペースの流れや感覚を信じた。

 8キロを示す看板でようやく時計を確認。38分。予想以上だった。疲労や痛みは感じられない。むしろ心地よかった。このまま後半につなげられることを確信しつつ道を進む。
 朱鷺メッセ、柳都大橋そして歴史博物館へ。
 沿道からの声援が多かった。こちらからも出来るだけ反応をするように心掛けた。送られるエールにせめてものお返しだ。

 柳都大橋をくぐり抜け万代橋を目指す。まもなくスパートだ。が、なかなかペースは上がらない。呼吸が苦しい。それに気を取られると次はフォームが崩れてしまう。
 ここから、ここから力を出し切るのだと自分に言い聞かせる。上半身の無駄な力を抜き「走ること」に集中する。あと数キロ。ペースアップ。何度も呪文のように繰り返す。
 そんなとき唐突に大きな声で僕の名前が呼ばれた。所属する走友会の兄貴的存在の方からの声援だった。全く予想していなかった声援と、多くのランナーの中で僕を見つけてくれたことがとても嬉しかった。こちらも大きく右手を上げた。走るという行為は至極孤独なものになりがちだ。だからこそ沿道からの無償の声援に背中を押されるのだろう。
 頑張ろう。
 走りに集中するスイッチが入ったような気がした。

 坂を下り競技場が見えた。あと数百メートル。門を潜り抜ける。競技場のトラックの緩やかなカーブ。僕はスライドを大きくとる。ゴールするまでにすべての力を出すつもりで駆けた。

 結果は78分。目標達成、自己ベストだ。
 ゴールした仲間たちと互いの健闘を称え合ったあと、僕は島ラン(走行会練習)憩いの場の団子屋さんへ向かった。交通規制がなくスムーズに辿りつく。最高に上手い醤油団子だった。

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