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2025年7月15日火曜日

佐渡OWS2025(オープンウォータースイミング)のこと

 今期のOWSは4月の宮古島トライアスロンからだった。季節がら海でのスイム練習はできる筈もなく、さりとて現地入りしてから試泳するでもなく本番に臨んだ。
 結果は自己ベスト、好条件が作用したことはもちろん、そこに至るまでのプールでの練習、例えば壁ターンキックなし縛りなんかが役に立ったのかと気をよくする。
 さて、この大会は宮古島と同距離の3,000m。2週前対策練として地元の海をウエットスーツを着用して泳いだので今年3度目のOWSだ。佐渡トライへ向けた海錬という位置づけは変わらないが時計短縮への期待感が少なからずあった。

 会場の佐和田海水浴場は湾になっていて、風がなければ朝の時間は海面は静かで澄明だ。陽が昇り、時間が経つとともに空気が温まって風が起こり波が立つ。岸辺を背にして左側方向へ潮流が強まり、時折、大きなうねりが立つのがこの時期の佐和田の海のぼくの見立だ。OWSを行うようになってから、海は時間の経過とともにその表情を変えていくことを知った。
 3,000mの部は岸に近い4番目ブイの手前からの水中スタートだった。沖に浮かぶ1番目のブイまでは距離にして650m。ピンクのキャップを被ったゲストの松田さんの背中がひときわ大きく、頼もしく見える。

 号砲が鳴り、ぼくらは一斉に群青の海を掻いた。泳ぎ始めというのは呼吸が整うまで辛抱が必要だ。そこへ潮の流れによる進行方向の修正や、ほかの選手との接触があったりと弱気な心が顔を覗かせることもしばしばだ。そういったことすべてを含めて、ぼくは海で泳ぐのが好きになってしまったようだ。

 沖の2番目のブイを目指すころには呼吸が落ちついてネガティブな考えは薄れてしまった。掻きはもとより、身体動作に意識を回し気持ちよく泳げていることに歓喜していた。

 道中は割愛。終盤2周目の岸を目指す場面、ぼくは早くからピッチを上げることに心を砕いていた。うねりに翻弄される場面もあったが、ペースを上げて少し息が苦しくなり。緩急をつけ、しのいだ。そんな頑張りのせいなのか、フィニッシュまであと50mぐらいのところで右ハムが激しく攣った。前日のバイク錬のあと攣りまくっていたので、きっとくるだろうと思っていたが最後の最後にきた。岸に上がってから右脚を引きずるようにfinishゲートを通過した。
 時計は1時間と2分弱。前回(2023年大会)は58分台でフィニッシュしていたので自己申告タイムは堂々の1時間切り、紺色のキャップで臨んでいた。正直に言うと落胆したけれど無事に完泳したことが勝って心が広くなっていた。とはいえ1時間を切れなかった考察は欠かせない。根本的な技術の問題は挙げたらキリはないが、蛇行やジグザグ泳といった無駄なコースどりがあったことは明白だ。

 OWSは目標へ直進する泳力が求められる。進行方向の視認。今回もヘッドアップをおろそかにして目標を見失うことが幾度となくあった。2022年大会でやらかした、ブイの誤認の教訓があったので自信のないときは連続してヘッドアップすることを忘れてはいなかった。
 視認の引き出しはそう多くはないが、ブレスで長めに息を吸って、しっかり息を止めて顔を上げるといった基本的なことを徹底した。顎を引いて顔を上げるのを最小にすると、波のある海面が視界を妨げて目標物が確認できないことがままあるので、いつも以上に上半身をつかって顔を上げた。クロール技術の向上はもちろんだが、状況変化のなかで目標への直進性を担保する技術を獲得しなければならない。


 さて。今回も滞在中に佐渡の皆さんからさまざまなもてなしを受けた。心から謝意を表したい。ぼくの図々しさがポジティブに反応している数少ない例で、彼らの存在が佐渡訪問の意欲につながっている。これからも大切にしたい繋がりだ。


 帰路のフェリー出港の際、住吉地区の方々による鬼太鼓(オンデコ)舞によるお見送りがあった。「また来いっちゃー」と岸から声が上がると、こちらのフェリーからも「またねー」と声が返されて皆手を振っていた。ぼくらを乗せたフェリー船はゆっくりと港を離れていく

 また来月練習を兼ねて佐渡を訪れる予定、楽しみである。(了)


2023年7月31日月曜日

佐渡OWS2023(当日)

 AM5:30起床。宿に泊まっているライフセイバー達が出立の準備に取り掛かっていた。例年ぼくは朝ジョギングをするのだけど、前日の夕方に少し走ったので、レース前の体力温存とういこでパスして、スーパーで買ったおにぎりと、残りもののバナナをよく晴れた空の下、宿の中庭でいただいいた。食事の内容はともかく気分がいい。食事について誰と食べるかはよく言われるけれど、どこで食べるかもとても重要なのだ。
 チェックアウトの準備を終え手持ち無沙汰になったので、予定していた時刻より早く宿を出た。外に人はおらず静かだった。陽射しがやけに強いので、日陰を選んで会場へ向かった。

 路地に黒猫が寝そべっていた。立ち止まると猫は顔をもたげた。胸が白毛で、まるで前掛けをしているようだった。その白前掛けの黒猫が、こちらに顔を向けぼくの様子を伺っている。ぼくは猫を見つめながらそっとその場にしゃがみ込む。こちらの出方をみているようだが、警戒を解いて再び寝転んでしまった。ぼくはゆっくりと立ち上がったが、猫は尻尾すら動かさずに寝そべったままだった。
 昨夜、夕飯で寄った定食屋さんの前を通りがかると扉が開いている。そろり店内を覗くと、厨房の方で物音が聞こえる。思い切って声を掛けてみた。すると女将が顔を覗かせ、あら、いってらっしゃい!と笑顔で見送られる。声援というものはなんだって嬉しいものだ。

 商店街に整列する看板建築や町屋風の建物は、海風に晒されて充分過ぎるほど年季が入っている。刷新された家屋は少ないが、そういった代謝がない訳ではないらしい。貸家や売地の文言も散見される。離島、過疎に高齢化。言葉にすると深刻だが、すぐどうこうということではない。ひと集めのコトやモノといった一連の催事に、ここの人々の暮らしは上手に寄り添っている。ぼくには特別な日曜だが、この河原田にはいつもと寸分に違わない街の時間が流れているようだ。

 さてさて。会場ではOWS1,500mがスタートし、沖へ向かう一団がみえる。ライフセイバーのカヌーや水上スキーが散開して選手たちを見守っている。ぼくは受付をして左腕に油性ペンでナンバリングしてもらう。じわり気持ちが上がる。
 受付周辺には見知った顔があり、ひと通り挨拶を済ませて支度に掛かる。今年もウエット着用、一度ぐらいはノーウェットで参加したいと思う。

 もちものを手荷物に預け桟橋横の試泳場でアップ。まだこの期に及んで躊躇する自分がいる。平静を装っているが内心は穏やかではない。久しぶりのレースへの緊張感、それに去年の失敗を思い起こして不安にかられていた。
 スイムチェックを真っ先に受け、スタート付近で待機した。レース前のルーティーン、1点を見つめながら鼻をかむように、両手で挟んで時間をかけて深呼吸をする。ゆっくり大きく吸い込んで、長く吐く。何度も繰り返す。不思議なもので、呼吸が穏やかになって、ほんのりやる気が出てくる。沖のブイを見つめて両手で頬を何度か叩く。準備はできた。

 オンユアマーク、沈黙そして号砲。ブルーキャップのぼくはグレーキャップ(1時間以内完泳申告者)のすぐ後ろについてスタートした。海に飛び込むタイミングに一瞬躊躇したけれど、目の前に空いた1人分のスペースに飛び込んだ。白い気泡が視界に広がり、ぼくは海水を搔いた。
 沖に浮かぶ「1」と記されたオレンジのブイに向かう。やや早いピッチで水を掻く。他の選手と接触する。ちょっと泳ぎずらい。ヘッドアップして目標を視認。浜辺から立ってブイを見るのと、泳ぎながら見るのでは見え方が全く違う。時折、ライフセイバーに重なってブイ見失ったりもする。ヘッドアップを連続して確認。ついでに周囲のスイマーの存在も確認する。

 長距離泳は泳ぐこと以外に意識をそらすと、確実にペースが落ちるとその手の本に書いてあったので、此度は常に自分の動作に意識を廻すことにした。
 泳ぎの引き出しの数がものをいう。例えばヘッドアップやブレスの次の動作として、首を脱力して真下をみるとか、波やうねりに対応してストレッチタイムに変化をつけたりと、細部に注文をつける。入水エントリー時の腕の高さ、手の甲の向きなんかでもいい。出来うる限り惰性で水を掻かない。下腹部に力を入れたり、背中を丸めたりなんでもいい。手を抜かないよう努めるのだ。

 ようやく「1」のブイに辿り着いた。いつも入りの直線がとても長く感じる。
 続く目標の「2」のブイは近いようで遠い。潮の流れのせいかな。手間がかかる印象だ。
 そして「2」から「3」へ。つまり沖から岸へ向かう場面では「3」のブイはもちろん、公衆トイレ脇の仮設の青いテント、それと電波塔、この3つの目標を頼りに方向を確認する。右へ流れされる傾向があって「4」のブイとの見間違いを防ぐ必要があるのだ。

 うねりに翻弄されフラフラしながら「3」にたどり着く。浜辺へ向かう場面は、段々と海が浅くなっていくのが判るので、方向さえ間違わなければ沖へ向かうのより気は楽だ。

 2周目。気持ちに余裕ができたのか、タイムが気になった。そう、今回は腕時計の着用がNGとなった。理由はわからない。ぼくはGarminに15分ごとのアラームを設定していたが、時計を知る術がまるでなかった。
 右手に伴泳する方の帽子がグレーだった。おっ、もしや!と期待は高まったが、すぐその後にはピンクキャップもいらっしゃる。判断しづらい。ここまでの時計は悪くないと思うことにして気を散らすのをやめる。

 今回、唯一のアクシデントは2周目の浜へ向かう場面で、右脚のハムが激しく痙攣しまい泳ぎを止めたことだ。状態を起こして水面で浮かんいたらライフセイバーに声を掛けられた。ぼくは、問題ありません、キリッ!と、再び泳ぎ始めたがすぐまた攣ってしまった。ヘッドアップが雑になって腰右ハムの攣る原因だろう。
 今年の佐和田の海は泳ぎやすかったと思う。目標を大きく見失わず、泳ぎの動作に意識を廻して、流れやうねりの場面で工夫できた。とにもかくにも焦りは禁物。常に冷静であることが肝要なのだ。
 もっぱらジムプールでの個人練習、スキルアップは難しいなぁと感じていたこの頃だったが、結果(58分22秒)を知って胸を撫で下ろす。ぼくのクロールは、まだまだ磨き上げられるところがたくさんある。これからも飽くことなく磨き続けて来年も参加したい。そして関係各位、皆々様に感謝したい。これがぼくの2023年の佐渡OWSである(了)。

2023年7月30日日曜日

2023佐渡OWS(前日)

 梅雨が明けた。それは天候における重要な句読点。梅雨といえば鬱陶しいほど降りやまない雨が印象だが、今年は豪雨猛雨に時折の酷暑と極端な空模様の連続で、雨に濡れそぼつ紫陽花の葉をぬらぬら動くカタツムリのテンプレは見当たらない。
 そんな梅雨の明けた週末、ぼくは佐渡へ向かう。日曜の「佐渡OWS(オープンウォータースイミング)」に参加するために。ぼくにとって大会という名のつく今年最初の催し(レース)でもある。開催されれば必ず参加するレースのひとつで、前泊してバイク練習も兼ねるのが専らになっている。

 AM6:00始発フェリーは新潟港を出港。ぼくは2等客室で持ち込んだ朝食を食べたり、新聞を眺めたり、時々ゲームをしたりして両津港までの約2時間半を過ごした。
 周囲に耳を傾ければ、ぼくと同じ目的の方々がそれぞれに想いの丈を話し合っている。コロナ禍を経て、どこのスポーツ大会も参加者が少なくなっているようだが熱心な「推し」はいる。間違いなくぼくもその1人だ。
 OWSは海の状況で、泳ぎを工夫する必要がある。海は変化する。水温、潮の流れやうねり、ときに泳者に悪さをする生き物も現れる。それら諸々判断をして対応しなければならない。
 なので明瞭な時計目標が立てがたい。どうも希望的観測になってしまう。なので、前年の苦い経験をもとに(参照)、今年はシンプルにコースロスを最小にするのがぼくの課題だが、例えば練習からくる担保や自信があればまだよいが、特にこれといってない。もう手持ちの技量でやるしかない。

 定刻通り両津に到着。今回初めて自転車を完成車で車輌置き場に預けていた。何事もものは試し。車輌置き場の一角に設けられた自転車用ラックから、自転車を押して降船。ばらして手荷物として持ち運び、組み立てるのに比べればずっと楽だった。もちろん幾らかの費用は手荷物のそれとは別途掛かる。もっとも、前輪だけ外す輪行バッグならば手間と時間はあまり差はないのかもしれないが。そうちなみに、車輌置き場の出入りの順番についてだが、この両津行きでは、新潟港の乗船と両津港の降船の順番は最後だったことを記しておく。

 自転車に跨って佐和田の宿泊先へ向かう。荷物を背負っての自走だが、アドレナリンとフォローの風で軽快だった。加茂湖を右手に眺め、新穂を経由し、田園の広がる風景の中を走る。建設中の市役所、ヘリポートを持つ病院のある金井を通過してバイパス道から佐和田に入る。距離は約20km、所要時間は40分。佐渡トライBコースの一部でもある。
 強い陽射しを浴びながら、重量のあるトライリュックのおかげで汗だくになった。凍らせて持ってきた補給飲料に清涼さはすでの微塵もなかった。自ら選択したこの苦役に、自虐がひどすぎてついニヤケてしまった。

 例年、佐渡トライBタイプのバイクコースをトレースしている。もっぱらこの佐渡OWの前日がそれに当たる。たったいま来た道を戻って、両津湊から佐渡一周線に入り再び佐和田海水浴場に戻ってくる。
 今回は体力的に我慢が効かずずいぶん降車した。赤泊のAコープで水分補給、一度は通り過ぎたものの涼に誘われて赤岩不動滝に立ち寄ったり、とどめは小木港の観光所のカキ氷で小休止したり。梅雨明けの暑さにやられたということにしたい。
 難所の小木の坂(おけさ柿の看板まで)は、頑張ることをやめ開き直っていちばん軽いギアを踏みながら、国道350号線から右に垣間見える遠い田園と海岸のパノラマに眼を奪われた。さらに西三川でも左手に開く外海原に圧倒された。もう何度も通過した道だが、高所からの眺めは尊くて魅了して止まないものだ。
 そんな感じで今回は例年と比べるとサイクリング寄りだった。距離にして105km、一応時計はネットで3時間40分。9月の本番はエネルギー補給を計画的にして体力温存に努め、好タイム!といこうじゃないか。

 宿泊先に戻りチェックイン。少し身体を休める。夕陽が赤みを増した頃、いそいそと穴倉から這い出す虫のように外に出て、気持ちいいペースでランニング。すると、あちらこちらにトライスーツ姿でランニングする方々と遭遇。彼らは夕陽よりもずっと眩しくて、ぼくはこそこそと穴倉へ戻った。(つづく) 

2022年7月21日木曜日

2022佐渡OWS、当日のこと。

 7/17(日)。前日のバイク練のあとは自由人と化し、そこそこ有意義な時間を過ごすことができた。AM5時前に目が覚める。計画の通り朝食前にジョギングへ出かける。蝉の声にカッコウの合いの手が入り、涼やかな風が吹いて心地よい。佐和田海水浴場、OWSの会場に脚を伸ばすと、すでに人が集まり準備が始まっている。それを除けば河原田はまだ深い眠りについているようだった。

 会場へ向ったのはAM8:40。スイムチェックがAM9:15なのでこの時間でぎりぎりだろう。
 受付で紫色のキャップを渡される。申告タイムは忘れてしまったが、どうも強気の申請だったようだ。見渡せる群青の海には白い波が立ち、少し風が吹いていた。ぼくはウエット着用で参加することした。
 直前の水分補給、ウエットによる体温の上昇などに気をつけながらスタートを待った。ゲストの松田さんとお願いしますのグータッチ。武者震いをひとつ、腹の奥にグッと力が入る。
 スタート30秒前。前列に並び号砲を待つ。いつものルーティーン、鼻をかむように両手を合わせて深呼吸。吸って、大きく吐いた。
 ライフセーバーが行く手を開けて号砲が鳴った。焦らずに身体を海水に浸すようにつかり、やおらゆったりと水を掻いた。底の砂浜が岩場に変わると、すぐに底は見えなくなった。
 時折、近くを泳ぐ選手が視界に入ってくる。接触するがバトルとは程遠いお触り程度。ヘッドアップして沖のブイを確かめながら水を掻いた。

 沖を目指して直線距離で600mちょっと。2回のブレスに対して1回の割合でヘッドアップ。ブレスはワンストローク毎だったりツーストロークだったりと、波のタイミングに合わせるようにした。なかなか上手くいかない。沖に進むほど難易度が上がった。
 スイムCKの直前、1,500mを泳ぎ終わった知人から沖の状態を伺い、波や潮の流れがきつかったとこぼしていたことを思い出す。そのときは、まぁそういうものだろうなと高を括ったが、いざ自分がその場へいくと、その言葉がよく理解できた。

 沖の2つ目のブイを回って浜へ向かう。ここまでは比較的順調だった。が、肝心な浜のブイがまったく見えない。陸の鉄塔で大よその見当をつけたつもりだったが、結果的にはコースの内側にとんでもなく大きく割り入ってしまい、4つ目のブイ、つまりスタートのブイに向って泳いでしまった。なんどもヘッドアップして確認していたというのに、ブイに接近してようやくそれとわかり、3つ目のブイへ逆泳するように戻った。ロスを悔やんでも仕方ないが、潮の流れと視認のミスが重なった。

 2周目。沖のブイまでが1周目よりも遠く感じる。潮の流れが強くなったのか、掻いても目標との間が縮まらない。流されていると思った。沖へ進むと波のうねりは大きくなり、ブレスの度に海水が口に入ってくる。度重なる塩味で気持ちが悪くなった。
 しっかり下半身を使ってブレスする。何度かそんなことをしていたら、呼吸が楽になって落ち着きを取り戻した。空には大きな白い雲の塊があって、いつか見た空の風景に邂逅した。佐和田の、佐渡の海を泳いでいることに心が動く。
 3年前まではあたり前に行われて数々の大会。またこうして参加できていることに、そこはかとない喜びのようなものが込み上げてくる。相変わらず群青の波は容赦ない。けれど、どこか懐かしさを伴って、それを求めている自分を認識した。視界に捕らえる沖のブイをクリアすれば、ゴールはそう遠くはないと自分に言い聞かせた。

 沖のブイを通過して浜を目指す。ヘッドアップしても目標が定まらないので、近くにいるスイマーと並んでみた。その頃には泳ぎに対する意識も取り戻し、しっかり水を取った。ウエットの浮力が恨めしい感触はあったが、底を取るように掻くと推進力を得られるのがわかった。
 でも、やっぱり1周目と同様に内側へ入ってしまった。修正しながらフィニッシュまで掻ける浜辺ギリギリまで泳いだ。立ち上がろうすると途端に浮力から開放され重力を感じる。走る気にはなれず、歩いてにゴールを抜けた。1時間7分30秒。掲げていた目標とはまるで開きがあって想定の甘さを恥ずかしく思った。プールスイムとOWの技術はまるで違う。これまでも何度もOWを経験していたにも関わらず、初めてそれを認識した。これを教訓に次のトライアスロンに活かせば、もっとやれる可能性はあると追認した。

 特別な才能を持ち合わせていない凡人が懸命に汗を流すのは、多かれ少なかれ納得いく内容を出せるかに掛かっている。その結果は日々の努力の結実であり、長期的な継続は半生の叙事詩にもなり得る。
 今回はまったく良いところはなかったが、この教訓を糧に、またぼくの物語を綴っていくのだ。2022年最初の大会、そんな佐渡OWSだった。(了)

2022年7月19日火曜日

2022佐渡OWS、前日のこと。

 渡航は ‘19年佐渡トライアスロン以来だ。OWS(オープンウォータースイミング)の参加が目的だが、当然にバイクとランの荷物も加わる。こんなだったかしら?と訝しながらトライアスロンのパッキングの予行を兼ねて積極的に道具を詰め込んで、久しく使っていなかったズートのリュックがパンパンになった。
 それに、これまた使っていなかった輪行袋にも少々てこずった。どちらも時間の経過を物語っていた。
 競技と継続的に関わりを持っていたつもりが、実はそうでない証拠を突きつけられたみたいで萎える。コロナ禍の空白からのリスタートではあるけれど、少なからず経験者の矜持みたいなものがあり、先のパッキングのようなところで、なんだかなー、と誰に向けるでもない、自分に戻ってくる台詞をつい吐いてしまう。いつ何時でも謙虚でなければならないということか。
 忘れてしまった、以前は上手くできたのに・・・。そんな愚痴をこぼしても不毛でしかない。経験を通じ、現状把握して、次に繋ぐ。何事もその繰り返しなのだ。

 7/16(土)、新潟からの始発のフェリーで佐渡に到着。そこは3年の時間経過を感じさせない、ぼくの知っている変わらない場所だった。輪行ではいつも1階ロビーで準備を整える。同じようにバイクを組み立てる人々の中に加わり、一つ一つ確かめながら支度を整えた。佐和田、河原田の宿泊先を目指してペダルを踏んだ。
 敢えて遠回りしようと考えたのが裏目に出て道に迷ってしてしまったが、遠方からでも目視できる建物を目指し、あらかじめ伝えていた時刻には到着することができた。背負っていた重い荷物がなくなり、身軽になる。宿はOWS会場と目と鼻の先、海岸に向かうと会場設営が始まっていた。


 会場の佐和田海水浴場から、この日のworkoutの本番としてサドルにまたがった。小佐渡、Bタイプのバイクコースの記憶の整理が目的だ。再び、両津へ向けペダルを踏む。佐和田の街からバイパスを通り、新穂を抜け両津港へ。道中、大佐渡から吹く風がアゲインスト気味だが、時折涼を運んで心地よい。晴れ渡る空の下、田園の広がる風景もなんとも気持ちがいい。
 住吉、水津、岩首、多田、赤泊、羽茂といった小佐渡沿岸ではは概ねフォローの風となり、サイコンで思わぬ速度が表示されることがしばしば。悪い気はしない。
 頑張ってペダルを回す上り坂、下りの勢いを活かして楽ができる地点など記憶を辿った。多田から少し先(多分)に新しいトンネルが完成していた他は記憶の通りだ。小木港、小木の坂の手前まで一気に進もうとペダルを踏んだ。
 頼みの補給は、自宅から持参した粉飴入りの2本のボトル。10分刻みの時計のアラート設定で、定期的な補給を怠らないようにした。こまめに補給していたので羽茂の手前で底をく。陽射しはピークに近かく、喉の渇きを我慢するにはかなり厳しい。小木に入ってすぐに飲料を補充したが、渇きに耐えられず、ほとんど飲み干してしまい胃に水が溜まった。
 それが仇となった。必要だったのは飲料よりも身体を冷やす冷却水。脆弱な冷却装置しか持ち合わせのないぼくは暑さは大の苦手だ。小木港の風通しの良いところで息を整えながら、サイコンを眺めた。河原田から約80km、Ave.31kmちょい欠け。平均速度はフォローの風の割にいまひとつの印象だった。

 小木の坂のピークは、おけさ柿の看板までの4km弱。しかし、登り始めから白旗を上げた。まるで歯が立たない。練習不足、暑さ、そして胃に溜まった水が邪魔だった。ペダルに、身体に力を込めることができない。体調を戻そうと胃の中の水分を吐いた。そして改めて吸収の良い飲料を入れ、自販機の冷水を身体にかける。

 坂を登った分、当然下りになるが風はアゲインスト。脚に負担を感じ、やむを得ずギアを落とすと、負けた感じがする。しかし身体に力が戻るまでは耐えるしかない。
 2度ほど冷水で身体を冷やしたことで、真野の手前で復活の気配を感じる。下り道にも助けられた。勢いを取り戻して河原田に辿り着いた。本番ではもちろんこの後があるが、こういう経験をすると不安だ。そこに至るまでの過程もあるが、今日の練習で持久力に注文がついた。現状の実力はこの程度だと謙虚に受けるしかない。
 サイコンは108km、3時間半を少し切るぐらいだった。休憩を挟んでいるのであくまでも参考まで。翌日に疲労を持ち越さぬよう、近所のスーパーに飛び込みバナナに牛乳、アイスクリームなんかを補給した。計画ではバイクの後に少しランニング、更に試泳までをと考えていたが、そういう気にはまるでなれず本日のworkoutはここで終了となった。(後半に続く)



 

2019年8月7日水曜日

佐渡OWSのこと 2019.8.4

 OWS前日8/3(土)
 ほぼ佐渡トラ本番の装備でパンパンになった、重量感十分のトライリュックを担いで、宿泊先の八幡をめざしてバイクを走らせる。途中、潟鉄のお2人に会い、小佐渡回りの水津は通行止めのために迂回ルートを通らねばならないと教えていただく。
 そのルートは、上りの続く山合いを抜けるコースなので、どうしたものかと躊躇したが、今回の佐渡上陸は頼れる仲間が大勢いたので、予てからの通り八幡から再び両津に戻り、迂回ルートを含めて佐渡Bタイプの小佐渡コースを走ることにした。

 この時期は、なにはともあれ暑さ対策と補給が大切だと思う。さらに今ぼくは、1日1食生活も合わさってスタミナにも若干の疑問符が付く。
 両津のコンビニでクラッシュドアイスを購入してボトルに詰める。上りの続くルートを乗り越えるためのかけ水に使うのだ。気温30℃以上でのバイク練は、そう多くはこなしていないので慎重に進める必要があった。

 赤玉地区へ抜けるその迂回路は、以前通ったことがあったので想定が出来ていた。上り初めから頑張らずやんわりとペダルを踏む。速く行こうとは微塵も思わなかった。
 進むにつれて雲がかかり、陽射しが遮られ涼しくなっていくのは歓迎だったが、汗はまったく止まらない。ちびちびと補給しながら、時折かけ水で頭と首を冷やし頂上を目指した。
 棚田の中を葛籠(つづら)に折れる下り坂を一瀉千里で駆けるのだが、途中、後輪をロックしてしまい横滑りし、あわやガードレールに突っ込みそうになり肝を冷やす。アスファルトが濡れていることも手伝ったか。後輪が横滑りする嫌な感覚が残り、以降の下りは臆病なハンドルとなってしまう。

 迂回ルートを経て、海岸線をトレースする佐渡一周線へ出る。全身で陽射しを浴びながら平坦な道をDHポジションで軽快(な、つもり)に進む。
 岩首、赤泊で補給を購入、小木ではトイレ休憩を入れる。小木港の東屋で一息ついていると、宿泊が一緒のKさんが突如現れてお互いに驚いた。ぼくはそれを合図に腰を上げ、小木の坂へと向かうことにした。
 以降、西三川で小休止を入れ補給を切らさないようにしてBタイプのバイクルートをトレース、再び宿泊先の八幡へ辿り着く。サイコンは実働3時間半を示していた。

 ちょっとしたスイム道具を携えて佐和田海水浴場へ訪れる。するとちょうど「OWSのチャレンジスイム」が始まるところだった。
 海岸の東屋に腰を下ろして子供達の泳ぎを眺めていると、Hさんがバイクに乗って現れる。一緒乗ってきたフェリーで別れてから、他の面々と外海府を走ってきたそうだ。
 実はぼくも小佐渡を走り終えたら、外海府の海を目当てに、脚をのばそうかと考えていた。
 佐和田は砂地なので海水に濁りが出るのだが、相川、尖閣湾は岩場なので海水の透明度がすこぶる高い。昨年の夏、シーカヤックで遊んだときの海水の透明度が忘れられないのだ。が、ここまでのバイク練でもう満足。炎天下の空の下、久々の佐渡を感じ一日を終えた。

 OWS当日8/4(日)
 AM3時半頃。ガラガラガッシャーン!と金物を床にぶちまけたような物音で目が覚める。
何事かっ!とは思ったが、誰かが洗面台あたりで何かを落としたのだろうぐらいにしか思わず、それをきっかけに床から離れ、ランの支度を始める。
 未明の空の下、真野方面へ向かって約小一時間のランニング。港で折り返して宿に戻るころにはすっかり夜は明けて、晴れ渡る青い空が広がっている。注ぐ陽射しには力があって今日も暑くなりそうだった。
 部屋に戻ると各自それぞれが支度を始めていて、明け方のガラガラガッシャーンについても話題に上っていた。そのやり取りに何となく耳を傾けながら、ぼくもチェックアウトの準備に取り掛かる。ぼくを含めて6名という人数だったが、誰に気兼ねすることなく自分のペースで物事を進められるというのはとても楽だった。

 スタートの1時間前、会場の佐和田海水浴場には8時半過ぎに到着した。
 1,500mを泳ぎ終えたHさんから海の状況をたずねる。岸へ向かう折り返しから波が強く感じるとの情報だった。
 「波」と聞いてハッと気付く。レンタカーで移動するAさんらに預けた手荷物の中に酔い止め薬を入れっぱなしにしたことを思い出し、アップを終えたAさんを見つけ車へ薬を取りに行く。(スイムチェックの始まる頃にバタバタさせてしまいAさん本当に申し訳ありませんでした。でもAさんは見事年代1位、流石です!)
 そんなこんなで、ぼくはアップはさっと済ましてスイムチェックへ。その後、スタートまでは海水につかり身体を冷やすことに努めた。
 スイム練を怠けていて、半ばぶっつけで臨むような状態だった。僅かながら自信を担保するのは、4月の宮古島を1時間でスイムアップしたことだったが、スタートが近づくにつれて不安が増した。ゲストの松田さんとタッチして勇気をもらい、同じく出場するAさん、Sさんと手をつなぎ、声を上げたりして鼓舞をする。

 コース設定はスタートブイ1からブイ2の間が675m、右に折れブイ3までが100m、また右に折れて浜へ向かうブイ4まで675m、浜と平行してスタートブイ1まで50mだったと思う。これを2周回するのが3,000mの内容だ。
 コースにはコーナーの赤いブイ以外、内ロープや途中の小ブイなどなく、ひたすらコーナーブイを目掛けて泳がなければならないのだった。

 ブイ1の手前で整列して、カウントダウンと共に定刻9:30にスタートする。
 今回のOWSのテーマは基本「1ストローク1ブレスを2回、次いで2ストロークして1ブレスする」で泳ぐことだった。1ストローク1ブレス一辺倒よりは、ブレスが減る分少しは速くなるはずで、そこを明確にしたわけだ。
 これを意識して、他のスイマーとの接触を避けるようにて泳いだ。参加人数は知れていたのですぐにプレッシャーは消えた。それと、ウエット着用の下半身は発汗が多く攣りやすいので、適度に各部位を動かすことも心掛けた。左右キックや下半身のローリングに意識を回す。
 すぐに海底が見えなくなり、群青の海中にポツンと置かれる。あとはひたすら水の中を進むだけだ。できるだけロスなくブイを通過すればよいのだ。
 ・・・こんなふうに記すと、なるほど順調な入りで調子は悪くはなさそうと思われるかもしれないが、不安が先行しすぎて泳いでいてもまったく楽しくなかった。疲れたら1周でリタイヤしちゃおうかなぁー、ぐらいのことを考えるという、前代未聞の超ネガティブだったのだ。

 コースロープや途中のブイがないというのは、真直ぐ泳ぐ技術と進行方向を見定めることを要求されている。
 スタートから最初のブイまでは、ライフセイバーと誤認してしまうことはあったが、沖のブイの視認性は悪くはなかったので、テーマストロークの合間にヘッドアップを入れ確認するこができた。が、苦戦したのは岸へ向かう最中だった。実際、方向感覚を完全に失い確認するためにフロートすることが複数回あった。
 1周目、レース前のアナウンスでアドバイスされた鉄塔が海から認識できなかったし、目標とするブイを見失うことが多かった。
 内に入りすぎて水上ジェットバイクに乗るセーバーに進行方向を正すように促され、次に外に触れすぎてまた軌道修正を促されるというダメさ加減。こうなってしまうと投げやりになりそうだったが、ここは我慢。下手なりにヘッドアップを入れて岸を目指した。

 1周回目を終えるコーナーブイで補給を受け取り一息ついた。2周目に入るに当たり、進行方向は滅茶苦茶だが、掻きとブレスは出来ているから、頑張れとジブン!と諭す。
 2周目のどの辺りかは忘れてしまったが、急に2ストローク1ブレス(以下2S1B)で通せるようになり、ピッチを早めると息切れすることも確認する余裕も出来た。ヘッドアップは二の次で2S1Bを継続して気持ちよく泳ぐことに徹した。もちろ蛇行しまくりだったけど。

 中盤を過ぎてストロークが良くなってきたこともあり気持ちが上がってきた。2つ目のブイを折れてからはフォームを大きくしたりして泳ぎ方に変化をつけたりもした。
 3つ目のブイを折れ、あともう少しで終わるぞ!と気持ちよく泳いでいたら、やっぱりコースを離れてしまいセーバーに促されてしまった。正確には覚えていないけれど、ものすごく丁寧に声を掛けられて、一旦フロートして返事を返した。

 スイムアップは1時間8分。ここでの教訓を活かして9月の佐渡トラに向けてスイムを修正することに。やっぱり中距離練習はしないよりした方が良いし、ヘッドアップのドリルも必要だ。
 また、今回たまたま一緒に行動した皆さんがとっても優しい方々で、ぼくは気兼ねせずに終始自分ペースでやれたことがことのほか良かった。これも良い発見でした。みなさん、ありがとうございました。また来年も宜しく!(了)

2017年8月8日火曜日

オレナツからの佐渡OWS’17.8.6のこと

 朝、2階のリビングに脚を運ぶ。テラスから思いがけない色をした真野湾がパノラマに広がる。僕は一気に目が覚める。夏の佐渡の恩恵だ。
AM4時台の真野湾
 朝ラン前、前日の大野亀で1cm程上げたサドルを再度微調整して今日のサイクリングに備える。
 昨年は練習不足からギリギリまでポジションが決まらなかった。今期はそこそこいい感じにポジションが決まってきているので、この辺で決めてしまいたいものだ。

 朝ランは宿を基点に河原田の海岸通りを往復して5km。僕は先週から殆ど走っていないので短い距離でもステップに注意を払いラスト1kmは上げる。
 シャワーで汗を流した後、皆で談笑しながらの朝食は例年のOWSにない心の余裕を与えてくれる。会場はすぐ目の前。今までのレースやイベントでもっとも優雅な時間を過すことができた。

 OWSの受付を済ませ、当日入りした面々にご挨拶。ウエットに着替えて準備を整えて試泳する。スカーリングからの軽いクロール、装備の不備がないかを確認する程度でさっさと海から上がる。再び皆と談笑してスイムチェックへ。いつものように淡々と物事は進んでいった。

 筋肉の痙攣には十分気をつけなきゃねと、水を持参してスイムチェックに向かった。暑さには滅法弱いのでマメに水分を補給することが重要なのだ。実は昨晩から気をつけていたのだが、残念なことにこの予測は見事に的中してしまうのだが・・・。こればかりは、どうしようもないのかな。
 
 海水につかって体温を冷ましながらスタートを待つ。この間、ゆーサーモンさんやスイムブロガーのヨッシーさん、それから以前お山で一緒になったYさんを見つけて声を掛ける。

 スタート30秒前のコールが聞こえる。今回のスイムアップの目標は37分台。大きく息を吸って水面を見つめ一点に集中する。準備は整った。
 目の前のヨッシーさんを追いかけるようにスタートする。落ち着いて水を掻く。焦らず騒がず、周りに惑わされず自身のペースで。ポイントはブレスをしっかりとること。300mぐらい泳げば息は落ち着くはずだと言い聞かせる。
 特に際立ったプレッシャーもなく最初のコーナーを廻る。ただここまでの直線400m程度が割と長く感じた。
 インコースにいたせいで軽くプレスを受ける。僕は逆らわず進路変更をする。時々ヘッドアップして前方を確認して、ポカンと浮かぶ二つめの黄色いコーナーブイを目指した。


 2周目。スタート付近は浅く立ち上がって、飛び込む動作を繰り返す選手を見受けた。それも悪くないなぁ、気分転換にはイイのかも、なんて思いながら僕は水を掻いた。
 底が見えなくなる頃になると水温が低くなって心地いい。と、同時に波に煽られることも多くなる。波に負けないように最後までしっかり水を掻く。時々、海水にディーゼルオイルが混じり、揮発性の臭気が鼻から胸を突く。この匂いで元気になるという方もいらっしゃるが僕にはマイナスの効果しかない。今こうして思い出してもムカつくほどなので、よっぽど嫌いなのかも知れない。

 最後のブイをカーブするとロングスパートよろしく、じわりペースを上げようと画策した。意識してしっかりとキックを打つ。潮の流れの影響から、内側にいるとプレッシャーを受けるので外へ逃げた。このペースアップで左の脹脛に違和感が出る。まだ浜は遠かった。スゴクいやな予感がした。すると次のキックを打った途端、左の脹脛が痙攣する。ハイ予感は的中。すぐさま左の足首をグイと立て、こむら返りを阻止しながら水を掻く。これはこれで、ナカナカしんどい。泳ぐのをやめようかとも思った。この脹脛の緊張がほぐれた後、今度は右のハムがこわばる。アカン。片方の緊張からくる無理な体勢が影響したようだ。これで完全にキックをやめざるを得なくなる。推進力にして15%減だなぁと漠然と思う。もはや掻き手で進むしかなくなった。

 いよいよ底が浅くなる。もう少し。けれど立ち上らねばならない。躊躇する。エイヤっと立ち上ると右ハムが身体の内側に切れ込んでくように痙攣した。思わず身体をよじりながら右ひざに手を置いて悶絶する。しばし水際に立ち尽くす。動けない、でも、進まなきゃ。ゴールを見上げながら、一歩二歩、引きずるように右脚を前に出した。

 プリントして頂いた記録証には41分03秒とあった。ラストの痙攣を差し引いてもどうだったか。9月の本番に向け、教訓にするしかない・・・。

 正午「On・The・美一」さんを後に、タカさん、ソファさん、そして僕の3名は両津を目指しペダルを漕ぎ出した。
 右手にはちょうどOWS5,000mがスタートして、水しぶきを上げながら進む選手たちの背中が見える。
 海からの風を感じた。オレナツ2日目が始った。(了)

2016年8月8日月曜日

2016佐渡OWSのこと

 午前3:00発のフェリーに搭乗して両津港へ。そんな早い時間にフェリーが出ているの?と思われる方がいらっしゃると思うが、夏季に運航される特別便のようなもの。おかげで前泊せずにOWSに参加できるのでこちらとしては大変都合がよい。
 普段なら2等船室なのだが、この度は1等船室を予約する。深夜の便ということもあって、僕らの船室は閑散としていたが、そのお陰で出港から到着まで十分に睡眠を取ることができた。申し合わせた訳ではないが、ゆーサーモンさんと同室で彼もまた深い眠りにつけた様子だった。


 今年はバイクでの移動はやめて会場までシャトル便を使った。AM7:10両津港発の大型バスに揺られAM8:00前には会場の真野に到着。天候は快晴。バスから降りるとまだ朝だというのに外の熱気が僕らを待ち受けていた。真野湾に風はなく波は穏やかで、一瞥すると昨年の佐渡トラの海に似てるなと思った。



 両津からバイクで移動してきた面々と合流し、ブリ男さん、鉄女ママさんら有志と共にアップを兼ねたジョギングへ出かける。陽射しを避けて商店街へ脚を向けようとも考えたが、真野の海岸線をトレースすることにした。
 2人とは久しぶりのジョグだった。僕はこの機会を逃すまいと、兼ねてから約束していたランニングのゼミで教わったいくつかを話した。身体の重心の真下へ着地を心掛けること、股関節のタメのことなんかを超要約版で説明する。降り注ぐ陽射しと、熱を帯びはじめたアスファルトで気持ちいいぐらい全身びしょ濡れになった。

 AM9:00に僕らのカテゴリー2,000mのスイムチェックが始まる。スタートまで30分、ウエットスーツを着用しているので脱水や熱中症に気をつける必要があった。昨年はスイムの中盤で見事に脚が攣ってしまったので海水で身体を冷やし、十分に水分を補給するよう気を配る。
 ここで嬉しい出来事が。いつも拝見させていただいているスイムブログ「ヤッパウミハイイヨネ」のヨッシーさんにご挨拶することができたのだ。僕はどちらかと言えば物怖じしない性質なのだけれど、とても緊張してしまい挨拶するのがやっとだった。スタート直前にもヨッシーさんから合図を送っていただいたけれど、まさか僕に向けてのこととは思わずうまく返すことができなかった。ニコニコと笑顔をたやさないその表情はブログから受ける印象そのままだった。

 さて。コースの真ん中、やや前方に待機してスタートを待った。定刻が近づき、皆でカウントダウンして一斉スタートを切る。僕にとって2度目のOWSのスタートだ。
 スタート直後はそれなりにバトル状態。自分の手足が当たりまえのように他のスイマーに触れるし当たってくる。前方のスイマーの真後ろでドラフトしながら、慌てないように注意深く動作する。しばらくして密集状態から解放されると、他からのプレスはほぼなくなった。
 ヘッドアップして目標のブイを確認する。めざす黄色のブイはまだ先だ。
 ワンストローク、ワンブレス。
 呼吸に余裕があればツーストローク、ワンブレスを織り交ぜる。自分の好きなように泳げるようになり、ようやくちょっとしたスイムの旅が始まったように感じた。

 最初の直線はかなり左側方向、つまり目標とするブイの反対側に流されていた。周囲に誰もいないことを訝ってヘッドアップを繰り返すと黄色のブイがほぼ真横に見えた。そのロスっぷりに焦ってしまい、心拍数が一気に上昇する。落ち着こうと気を取り直しながら、インに沿って次のブイを目指した。
  2つ目のブイを折れ浜へ向かう。方向性を正すためにキャッチの手をいつも以上に肩からまっすぐ出すよう意識した。それでも右に左にと蛇行しているようで、まっすぐ目標に向かっていない不安は払拭できないでいた。

 そうこうしながら2周目に突入。再び沖へ向かう直線は並列するスイマーを目印にして、ロスしないように心掛ける。けれど時折互いの間隔が妙に離れることがあった。きっとおそらく左へ流されていたのではなかろうか。1周目よりも波が高くなっている。左斜め前方から潮の流れを感じ、プルの手をやや浅めにして身体の近くでかくようにして対応した。

 2つ目の黄色い部位を折れ、浜へ向かう残り500m。ストロークのピッチを上げ、体重を乗せるように肩にあごをつけつつ肘を上げ、より大きく水を掻き込むように努めた。にわか仕込の動作だったが、ここで実践投入。時々ヘッドアップして前方確認はするが、なんでもいいからこのまま行ってしまえという気持ちでゴールを目指した。
 ツーストローク、ワンブレスを基本に、辛くなったらワンストロークで息を入れ、ピッチを落とさないようにする。やがて浜に一番近い黄色いブイを越える。あともう少し。海の底がハッキリと目視で確認できる。けれどそこからがやけに長く、泳げるところギリギリまで水をかいた。
 45分19秒。今回の完泳タイムだ。結果を知った瞬間はちょっとがっかりしたが、持てるものは出したので致し方なしと言い聞かせる。周回コースをロスなく進む技術が欠乏しているのは明白だった。また来年もっと成長してこの海に臨もう。ま、来月また来るけどね。


 そして、新潟に戻ったこの日の夜。街では花火大会が催されていて、豊栄走友会と横越ヤンバラーズ合同の花火ランと称して、花火が打ち上げられている会場までジョギングするイベントに参加した。
 祭りの賑わいと日中の熱のこもる街を12人で走る。アテがあるようでナイような、夜を彷徨う大人の深夜徘徊みたいだった。午前中の真野の海の出来事が同じ日のことは思えないぐらい、長い長い夏の1日だった。(了)




2015年8月3日月曜日

2015佐渡オープンウォータースイミング(SOWS)のこと

 

 ライフセーバーの黄色いカヤックが海上にスタートラインを作っている。その後方にぼくらは静かにスタートを待つ。スタート1分前、そして30秒前。セーバーがコースを開く。そしてスタートの合図。
  ゆっくりと沖に向かって歩き出す。水位は膝の上ぐらい。ズンズン前進しながら、腰に浸かるぐらいまでは歩いてイイかなぁと思った。海水の温度が少し下がり、濁った海水が青色を取り戻す。
 ぼくは覚悟を決め、息を大きく吸って海面に飛び込む。OWSのはじまりだ。けれど自由には泳がせてはくれない。前後左右にスイマーがいてプルもキックも誰かしらの身体に触れる。位置取りバトルとかそんなカッコイイものじゃなくて、水中で皆が右往左往しているようにみえる。
 それらを交わしながら進路を沖へとる。キックは殆ど使わずにプルを大きく気持ち深めに、腰のあたりまで持ってきてからスッと手を抜いて、お化けの手で海面を撫でながら遠くをキャッチする。ブレスはプル2セットに1度。焦らずにいつもの動作でゆったり泳ぐ。時々ヘッドアップして位置を確認。多少蛇行しているようだけど、概ねコースの真ん中に位置している。
 ブレスの度に、周囲にはスイマーがいることが確認出来た。水中では一人で泳いでいるような感覚に陥るけれど、そうではなくて多くのスイマーが同じ方向を目指し泳いでいる。ぼくはウエットの鱗を纏ったサカナの群れの一部になる。青い水は先の視界を閉ざしたままで、時々、他のスイマーのプルやキックで出来た泡が視界に入った。距離を進む感覚はほとんどなく、水をキャッチすることで前進しているとのだと信じるしかない。
 岸から離れる程に波のうねりを強く感じ、それに逆らわないよう、出来るだけ同調するように努める。けれど不用意に水面をたゆたおうものなら、間違いなく波酔いしてしまうだろう。僕は泳ぎながら何度となく自身の三半規管を呪った。

 第1ブイまで730m。インコースを突いて右に折れる。海面に屹立する黄色いブイに佐渡国際トライアスロンの白地に黒い文字を見た。
 この方向転換は随分と波に煽られた。枯た海藻が進行方向からいくつも流れてきて、それらが手に絡みつく。潮の流れか。そして、ここで何人かと接触。このとき小刻みにキックを入れて振り切ろうとしたのがいけなかった。何度目かのキックで右のハムストリングスから下が攣ってしまった。右の腰から下が反り返ってしまう。死後硬直した青魚のイメージが浮かんだ。どうにも動かない。ただ、幸いにも強い痛みはない。強張りが和らぐのを待って恐る恐るキックする。また攣ってしまう。キックを諦めてプルで進みつつ、右のブレスを左に変えたりして身体を解しバランスをとる。発汗による脱水か。夏場のウェットスーツの洗礼を受ける。

 第2ブイまでは公式アナウンスでは900m。それは遥か遠く、オレンジ色のブイの延長に黄色いブイを確認する。ぼくはインコース付近のブイをつないぐロープに沿って泳いだ。時々ロープにぶつかる。その度に進路修正をする。ブレスの度に黄色いカヤックに乗ったセイバーが視界に入った。
 キックがないので呼吸に余裕が生まれ、3セットプルに1度のブレスを試す。海底を見るようにまっすぐ態勢をとってグッと力強く進む。けれど波に揺られる。これがイケなかった。波酔いが確定的になる。
 このとき、泳ぎながら思ったこと。とにかくスイムに苦手意識を持たない。ネガティヴイメージを脳裏に植え付けないようにした。波酔いは気のせいだと。波酔いしているけれど、イヤ酔ってない、と事実を認めないようにした。酔ってない、酔ってない。呪文のように繰り返す。来月の本番に向け、できるだけ良いイメージを持たねばならない。気を紛らわそうとブレスの度に空に求めた。けれど、そこにはさっきから替わり映えのしない夏の青い空しかなかった。

 漸く第3ブイを折れ岸を目指す。ゴールまで残り370m。あと少し。そう思ったら気持ちが緩んでしまい、泳ぎながら水中で2度エズク。もちろん内容物はないのでご心配なく。
 チョットへたばりかけているとラストスパートをかけるスイマーに次々と追い抜かれる。その中にはスピリットZさんも含まれていた。案外と自分が健闘していたことを知り、気持ち悪いながら頑張って水をかいた。ヘッドアップするたびに岸が近づいて来る。水温が生ぬるくなり海の底が見えてきた。
 浅瀬まで辿り着き立ち上がった。頭がくらくらする。それに海水が脚にまとわりつくようだった。浜にたどり着くまで少し時間が掛かった。階段を上がり赤い毛氈をまたいだところがゴール。すぐ目の前にKさん、スピリットZさんがいた。気持ち悪くてフラフラだった。やり遂げたという達成感が勝ったかにみえたが、また思いっきりエズイてしまった。

 これで今月のスポーツイベントは終了。翌月の佐渡トラまで淡々とトレーニングをこなすことになるだろう。佐渡トラ目標と言うよりも、もう少し先の目標を目指してだけれど。
 それから三半規管強化のため、でんぐり返しをする必要があることも良くわかった。これはもちろん佐渡トラ対策だ。とても重要なトレーニングであることは言うまでもない。(了)


 

2014年6月23日月曜日

週末連のこと

 先週の日曜日、初参戦したトライアスロン、酒田おしんはスイムが中止となり、デュアスロンになってしまったけれど、少なくとも大会の雰囲気を味わうことができた。特にバイク。レース中の疾走感に高揚した。
 バイクは練習不足。トップとは10分以上の差、時速5km以上のひらきがあった。更に終盤3周目は腰や脚に疲れがでたし、ランに影響した。 もっと踏まなければならない。相応の結果だ。
 …ということで6/21(土)はバイクをメインにデュアスロン練習。
 まずはアップを兼ねてラン。早朝は涼しくて、走るにはちょうど良い。気持ち良く小一時間ほど走ってから、玄関トランジションでバイクに跨る。
 福島潟経由で豊浦へ廻り290号線から村杉へ。途中、出湯のパン屋さんで一息入れやまびこ、村杉温泉を通過し、瓢湖へ向かい460号線に出て、再び福島潟を目指す。
 インターバル形式で力の出し入れをする。向かい風、上りなどシチュエーション毎にペダルを踏みわける。概ね50km、ちょうど1時間30分だった。

 再びラン。バイク直後は脚が回らない。
 前傾をいつもより深めに、重心を鳩尾あたりに意識して、肩を左右に振るように進む。もちろん背骨はまっすぐ。2軸フォームとでも言うのだろうか。
 いつもは上半身を固定して下肢を動かすような、見た目にこじんまりとしたフォームだ。けれどこの時は、先に述べた、自分の体型を生かせるフォームで走ってみる。感触は悪くなかった。

 陽射しが強くなってきた。補給を持たない丸腰だったので、予定コースを変更して涼しい場所を選んで走った。カブトヤマトンネルを数往復して桜並木通りへ向かう。その途中思わず転倒。脚が上がってなかったのが原因だ。幸い怪我はなかったけれど、これがモチベーション低下に繋がり、結局30分程度でランを終了した。
 その後すぐに子供達と約束していたプールへ出掛けた。開館時間になったばかりだというのに、すでに大勢の人で賑わっていた。午前中いっぱいプールで過ごす。これで3種目を達成(笑)。


 翌6/22(日)。小雨が降っていたので朝ランは中止。準備して日和浜(ひよりはま)に向かう。この日は潟鉄ショートトラ練習だ。ぼくはOWSだけ参加した。

 結局、テトラ間を3往復して終了。前回より少しは様になったつもりでいたけれど、まるで言うほどではなかった。
ウエットを着用すると浮力がつくのだけれど、その分だけ下半身が余計な動きをしてしまう感じで、2ビートのキックがうまくいかない。しかも、今回はひどい波良いのおまけがついた。ほうほうの体で帰宅し、そのまま夕方近くまで調子が戻らないという、ビックリするぐらい重症だった。
 結局、日曜はこのスイムのみで終了。ちょっと不完全燃焼の休みになってしまった。


6/22までの走行距離…ラン219km

2014年6月11日水曜日

今年初のOWS(Open Water Swimming)のこと

6/8(日)早朝ジョグをこなした後、今年初のOWSへ出掛けた。
青い空と静かな海。絶好の環境だった。当然ながら浜辺には、ウエットスーツを着たぼくらだけ。テトラポットに囲われた練習場はちょっとしたプライベートビーチだ。水温18.5℃、片道230mの往復だ。
 
早速、練習開始。
唯一の頼みはウェットの浮力。気負っていたせいもあり、スタートからすぐに息がもたなくなる。全てにおいて下手なのだけれど、とくに息継ぎに苦手意識がある。ひとり大きく遅れる。自分の動作を意識して修正やら試行を繰り返した。 
泳いでいる間は呼吸が苦しくて余裕なんてなかった。けれど魚を見つけたり、息継ぎの際に目に入る風景とか、海水が気持ちよく感じられたことが随分と助けになった。
3往復目でウエットスーツで擦れた首筋がヒリヒリと痛み、海水で喉が渇いた。本番ではこういうこと全部をひっくるめて、泳ぎ切らなきゃならないと思うと、ちょっと自信を失いそうになる。来週に向けて悪い印象を残さないように、ぼくは片道230mを3往復したところで砂浜に上がった。

少し時間を掛けて着替えをして島ランへ。陽が高くなるに連れて、陽射は強くなった。辺りが眩しい。梅雨入りしたばかりだというのに夏のようだった。ぼくらはゆっくりと海岸沿いを進む。
ジョグ中もスイムのことが気になり、伴走して頂いたAさんに幾つかの質問をする。経験談も含めいろいろな話をして頂き、とても参考になった。
 
午後、プールへ脚を運ぶ。午前とは一転して空は鉛色に変わっていた。
OWSで気がついたことや、頂いたアドバイスを試みる。なかなかイメージ通りにはいかないけれど、とても楽しかった。いずれにせよ、質に転ずるまで量をこなすだけだ。
本番までアトわずか。少しでもマイナスを減らしたいと思っている。


6/8までの走行距離…ラン102km


美海女1名とその他。