2023年7月30日日曜日

2023佐渡OWS(前日)

 梅雨が明けた。それは天候における重要な句読点。梅雨といえば鬱陶しいほど降りやまない雨が印象だが、今年は豪雨猛雨に時折の酷暑と極端な空模様の連続で、雨に濡れそぼつ紫陽花の葉をぬらぬら動くカタツムリのテンプレは見当たらない。
 そんな梅雨の明けた週末、ぼくは佐渡へ向かう。日曜の「佐渡OWS(オープンウォータースイミング)」に参加するために。ぼくにとって大会という名のつく今年最初の催し(レース)でもある。開催されれば必ず参加するレースのひとつで、前泊してバイク練習も兼ねるのが専らになっている。

 AM6:00始発フェリーは新潟港を出港。ぼくは2等客室で持ち込んだ朝食を食べたり、新聞を眺めたり、時々ゲームをしたりして両津港までの約2時間半を過ごした。
 周囲に耳を傾ければ、ぼくと同じ目的の方々がそれぞれに想いの丈を話し合っている。コロナ禍を経て、どこのスポーツ大会も参加者が少なくなっているようだが熱心な「推し」はいる。間違いなくぼくもその1人だ。
 OWSは海の状況で、泳ぎを工夫する必要がある。海は変化する。水温、潮の流れやうねり、ときに泳者に悪さをする生き物も現れる。それら諸々判断をして対応しなければならない。
 なので明瞭な時計目標が立てがたい。どうも希望的観測になってしまう。なので、前年の苦い経験をもとに(参照)、今年はシンプルにコースロスを最小にするのがぼくの課題だが、例えば練習からくる担保や自信があればまだよいが、特にこれといってない。もう手持ちの技量でやるしかない。

 定刻通り両津に到着。今回初めて自転車を完成車で車輌置き場に預けていた。何事もものは試し。車輌置き場の一角に設けられた自転車用ラックから、自転車を押して降船。ばらして手荷物として持ち運び、組み立てるのに比べればずっと楽だった。もちろん幾らかの費用は手荷物のそれとは別途掛かる。もっとも、前輪だけ外す輪行バッグならば手間と時間はあまり差はないのかもしれないが。そうちなみに、車輌置き場の出入りの順番についてだが、この両津行きでは、新潟港の乗船と両津港の降船の順番は最後だったことを記しておく。

 自転車に跨って佐和田の宿泊先へ向かう。荷物を背負っての自走だが、アドレナリンとフォローの風で軽快だった。加茂湖を右手に眺め、新穂を経由し、田園の広がる風景の中を走る。建設中の市役所、ヘリポートを持つ病院のある金井を通過してバイパス道から佐和田に入る。距離は約20km、所要時間は40分。佐渡トライBコースの一部でもある。
 強い陽射しを浴びながら、重量のあるトライリュックのおかげで汗だくになった。凍らせて持ってきた補給飲料に清涼さはすでの微塵もなかった。自ら選択したこの苦役に、自虐がひどすぎてついニヤケてしまった。

 例年、佐渡トライBタイプのバイクコースをトレースしている。もっぱらこの佐渡OWの前日がそれに当たる。たったいま来た道を戻って、両津湊から佐渡一周線に入り再び佐和田海水浴場に戻ってくる。
 今回は体力的に我慢が効かずずいぶん降車した。赤泊のAコープで水分補給、一度は通り過ぎたものの涼に誘われて赤岩不動滝に立ち寄ったり、とどめは小木港の観光所のカキ氷で小休止したり。梅雨明けの暑さにやられたということにしたい。
 難所の小木の坂(おけさ柿の看板まで)は、頑張ることをやめ開き直っていちばん軽いギアを踏みながら、国道350号線から右に垣間見える遠い田園と海岸のパノラマに眼を奪われた。さらに西三川でも左手に開く外海原に圧倒された。もう何度も通過した道だが、高所からの眺めは尊くて魅了して止まないものだ。
 そんな感じで今回は例年と比べるとサイクリング寄りだった。距離にして105km、一応時計はネットで3時間40分。9月の本番はエネルギー補給を計画的にして体力温存に努め、好タイム!といこうじゃないか。

 宿泊先に戻りチェックイン。少し身体を休める。夕陽が赤みを増した頃、いそいそと穴倉から這い出す虫のように外に出て、気持ちいいペースでランニング。すると、あちらこちらにトライスーツ姿でランニングする方々と遭遇。彼らは夕陽よりもずっと眩しくて、ぼくはこそこそと穴倉へ戻った。(つづく) 

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