2022年7月21日木曜日

2022佐渡OWS、当日のこと。

 7/17(日)。前日のバイク練のあとは自由人と化し、そこそこ有意義な時間を過ごすことができた。AM5時前に目が覚める。計画の通り朝食前にジョギングへ出かける。蝉の声にカッコウの合いの手が入り、涼やかな風が吹いて心地よい。佐和田海水浴場、OWSの会場に脚を伸ばすと、すでに人が集まり準備が始まっている。それを除けば河原田はまだ深い眠りについているようだった。

 会場へ向ったのはAM8:40。スイムチェックがAM9:15なのでこの時間でぎりぎりだろう。
 受付で紫色のキャップを渡される。申告タイムは忘れてしまったが、どうも強気の申請だったようだ。見渡せる群青の海には白い波が立ち、少し風が吹いていた。ぼくはウエット着用で参加することした。
 直前の水分補給、ウエットによる体温の上昇などに気をつけながらスタートを待った。ゲストの松田さんとお願いしますのグータッチ。武者震いをひとつ、腹の奥にグッと力が入る。
 スタート30秒前。前列に並び号砲を待つ。いつものルーティーン、鼻をかむように両手を合わせて深呼吸。吸って、大きく吐いた。
 ライフセーバーが行く手を開けて号砲が鳴った。焦らずに身体を海水に浸すようにつかり、やおらゆったりと水を掻いた。底の砂浜が岩場に変わると、すぐに底は見えなくなった。
 時折、近くを泳ぐ選手が視界に入ってくる。接触するがバトルとは程遠いお触り程度。ヘッドアップして沖のブイを確かめながら水を掻いた。

 沖を目指して直線距離で600mちょっと。2回のブレスに対して1回の割合でヘッドアップ。ブレスはワンストローク毎だったりツーストロークだったりと、波のタイミングに合わせるようにした。なかなか上手くいかない。沖に進むほど難易度が上がった。
 スイムCKの直前、1,500mを泳ぎ終わった知人から沖の状態を伺い、波や潮の流れがきつかったとこぼしていたことを思い出す。そのときは、まぁそういうものだろうなと高を括ったが、いざ自分がその場へいくと、その言葉がよく理解できた。

 沖の2つ目のブイを回って浜へ向かう。ここまでは比較的順調だった。が、肝心な浜のブイがまったく見えない。陸の鉄塔で大よその見当をつけたつもりだったが、結果的にはコースの内側にとんでもなく大きく割り入ってしまい、4つ目のブイ、つまりスタートのブイに向って泳いでしまった。なんどもヘッドアップして確認していたというのに、ブイに接近してようやくそれとわかり、3つ目のブイへ逆泳するように戻った。ロスを悔やんでも仕方ないが、潮の流れと視認のミスが重なった。

 2周目。沖のブイまでが1周目よりも遠く感じる。潮の流れが強くなったのか、掻いても目標との間が縮まらない。流されていると思った。沖へ進むと波のうねりは大きくなり、ブレスの度に海水が口に入ってくる。度重なる塩味で気持ちが悪くなった。
 しっかり下半身を使ってブレスする。何度かそんなことをしていたら、呼吸が楽になって落ち着きを取り戻した。空には大きな白い雲の塊があって、いつか見た空の風景に邂逅した。佐和田の、佐渡の海を泳いでいることに心が動く。
 3年前まではあたり前に行われて数々の大会。またこうして参加できていることに、そこはかとない喜びのようなものが込み上げてくる。相変わらず群青の波は容赦ない。けれど、どこか懐かしさを伴って、それを求めている自分を認識した。視界に捕らえる沖のブイをクリアすれば、ゴールはそう遠くはないと自分に言い聞かせた。

 沖のブイを通過して浜を目指す。ヘッドアップしても目標が定まらないので、近くにいるスイマーと並んでみた。その頃には泳ぎに対する意識も取り戻し、しっかり水を取った。ウエットの浮力が恨めしい感触はあったが、底を取るように掻くと推進力を得られるのがわかった。
 でも、やっぱり1周目と同様に内側へ入ってしまった。修正しながらフィニッシュまで掻ける浜辺ギリギリまで泳いだ。立ち上がろうすると途端に浮力から開放され重力を感じる。走る気にはなれず、歩いてにゴールを抜けた。1時間7分30秒。掲げていた目標とはまるで開きがあって想定の甘さを恥ずかしく思った。プールスイムとOWの技術はまるで違う。これまでも何度もOWを経験していたにも関わらず、初めてそれを認識した。これを教訓に次のトライアスロンに活かせば、もっとやれる可能性はあると追認した。

 特別な才能を持ち合わせていない凡人が懸命に汗を流すのは、多かれ少なかれ納得いく内容を出せるかに掛かっている。その結果は日々の努力の結実であり、長期的な継続は半生の叙事詩にもなり得る。
 今回はまったく良いところはなかったが、この教訓を糧に、またぼくの物語を綴っていくのだ。2022年最初の大会、そんな佐渡OWSだった。(了)

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