2016年11月6日日曜日

大阪マラソン2016

 大阪マラソン前日。
 伊丹空港からモノレールを使い、千里中央から御堂筋線に乗り換え、本町からコスモスクエア駅に向かう。ところどころで出会す街の風景が3年前の記憶を蘇らせてくれる。駅に到着すると、同じ目的の人達の背中を追いかけるようにして会場を目指した。

 エントリー会場のインテックス大阪までは徒歩10分ぐらい。しばらく電車に揺られていたせいか、晴れ渡る空と外の空気が心地よい。少し風が強いかな。
 黄色いビニールバックを下げた、一目でそれとわかる人々が切れ間なくこちらへ向かって来る。すれ違いざまに聞こえてくる声は、ほぼ例外なく明日への抱負についてだった。
 府庁の高層ビルを過ぎる頃にはフィニッシュゲートが目に飛び込んで来る。明日は大阪城からここを目指すのであった。




 いくつかの建物で構成される巨大な会場を、オリエンテーリングさながらに道順に従って移動する。イベント会場、ゼッケンの受け渡し、ノベルティの販売、協賛各社の出店ブース、次々と流れに乗って順序よく会場を巡る。
 とあるブースで視線が絡んだタイから来日したランナーと2、3言葉を交わした。アジア系の参加者は少なくないようだ。大概、彼らは大きい声を発していて気が向いてしまうから、そんな風に思ってしまうのかもしれないけれど。

 インテックス大阪を後に宿泊先の灘波へ向かう。前回2013年のときは市営地下鉄2日間乗り放題のチケットで移動に重宝した。こういう出費はチリツモというやつで馬鹿にはならない。普段の移動に車を使う人間にとっては尚更そう感じる。(後日このチケットが今年も売られていることを知る)
 地下鉄を乗り継ぎながら自分なら1駅、2駅ぐらいなら歩いちゃうな、いやトレーニングがてらジョギングそれとも自転車かなぁ、などと電車に揺らながら移動について思いを巡らした。

 宿泊はファーストキャビン。某ビジネス番組で取り上げられた新スタイルのコンパクトホテルだ。口コミ評判を頼りに相応の準備をしていったが、想像以上に快適でコスパに十分見合っていると感じた。
 チェックインを済ませて心斎橋、アメ村周辺を散策する。週末の夕刻、ハロウィンと重なっていることもあり街は大勢の人々で賑わっている。ちょっとした歩行渋滞が起こっていて簡単に先に進めない程だ。外国の方の姿も俄然多くなるが、相変わらず関西弁が飛び交っていて、滅多に訪れることのできない関西圏に来ていることを強く認識する。関西弁が大好きなので耳に心地よくてたまらない。
 …にしてもボッチというのは途轍もなく寂しい。群衆の中の孤独だ。ほどほどに街の雰囲気を味わい、お一人様でアルコール抜きの夕食を済ませたあとは、明日の準備のため宿に戻ることにした。繁華街の賑わいに後ろ髪を引かれる想いはあったが目的は明日、気持ちを切り替えて撤収する。


 大阪マラソン当日。
 AM4:50分起床。枕が変わると寝つきが悪くなる性質なので、安定剤は必須だったがよく眠ることができた。コンビニで揃えた朝食を摂り、ゆるゆる準備してAM7:00にチェックアウトする。
 難波から鶴橋で乗り換えて森ノ宮へ。思いのほかランナーに出くわさないのが不思議でならなかったが、駅に着くと同じ目的の群れに出会えることができてひと安心した。
 大阪城公園に到着すると、手荷物預かり締め切りまであと20分というアナウンスが聞こえ、手荷物を預けるべく指定トラックの元へ急いだ。
 手持ちのキャリーバックは指定のビニールバックに収まらなかったが、ボランティアさんからガムテで袋を繕ってもらい引き渡し完了。グッドラック!それじゃお先にゴールで待っているよと、手荷物はトラックに積み込まれていく。手筈は整った。

 城内を歩きながらスタート地点の大阪府庁舎前へ向かう。ゼッケンナンバーの頭が「B」の集団に並んだのがスタートの25分前。「大阪城」を示す交通標識の真下あたりが今回のスタートポジションとなった。スタートからはおおよそ100mちょっと離れているだろうか。

 スタート3分前。
 ガヤガヤしていた周囲が少し鎮まった気がした。僕は左手のガーミンをセットし、右足に装着したICチップにチラりと眼をやる。ポーチの補給ジェルの蓋をそれぞれに緩め、最近マイブームのサンバイザーの真後ろにアミノ酸の包みを挟みこむ。念のためにと着ていたビニールポンチョを脱いだ。

 スタート30秒前。
 ガーミンが未同期で焦る。残りひとメモリで点灯を繰り返すばかり。そのうちにカウントダウンが始まる。5,4,3,2,1…スタートゲートの両サイドから勢いよく白煙が上り、辺りはランナーの歓声に包まれた。僕は相変わらずガーミンを気にしていた。ランナーの群れはすぐには動き出さない。1歩2歩と移動が始まる。まもなくスタート地点というところで群れが止まる。スタート地点に設置されたセイコーの時計は1:40を示していた。すんなり進まないことと左腕のガーミンにヤキモキする。スタート地点、ガーミンはオールグリーンではないが測定開始のボタンを押す。ゲートから吐き出されるようにして走り出した。2度目の大阪マラソンの始まりだ。


5km 25:35
 里程標とガーミンのキロラップのタイミングがまるで違うので確かではないが、 入りの1kmは6分近く掛かった。阪神高速13号の高架下へ分岐する道は幅員が狭まるうえ、すぐ右折するので仕方ない。いずれにせよタイムにこだわるのならば、前に位置取りした方が良い。
 沿道からの声援はみな元気良く途切れることを知らないようだった。時折それに気を取られながらも、僕はガーミンの動作が気になって仕方なかった。
 4kmぐらいのところで間寛平さんに追いついた。腕の振り方が大きく個性的なフォームが印象的だ。周囲のランナーに激励されている。僕も声をかけようとしたが、ランナー達から声をかけられる度にしっかり返答する寛平さんをみてヤメた。彼は見かけのままいい人のようだ。

10km 24:42 50:17
 宿泊した灘波の交差点を右折して御堂筋へ。夥しい声援の沿道と反対側の道路中央を走った。前半のロスが気になったが10kmを50分ぐらいに合わせるつもりで淡々と進んだ。

15km 24:29 1:14:46
 チャレンジラン(8.8km)のゴールを横目に再び灘波の交差点へ向かう。14km過ぎに思い出したように補給ジェルをちびちびと舐めてみる。

20km 24:21 1:39:07
 御堂筋を折り返して先ほどの難波の交差点を左折する。千日通りから京セラドームへ向かって走走る。大正橋を抜けると多くの製造業の看板が街並みを飾るのが分かる。この区間は道にちょっとしたうねりが出てくるが、沿道からの圧倒的な応援を受けるせいかあまり気にならない。折り返して再び千日通りへ向かう。

25km 24:36 2:03:43
  みたび難波交差点へ出て右折。調子が良すぎと言うか、ひょっとすると楽をしすぎてるのかなと自問する。良いペースで走っているのにジョギングしてるような錯覚に陥り、これだったらもっと上げておけば良かったかなと、組み立てを間違ったように感じる。この頃がまさしくランナーズハイ状態だったかも。

30km 24:49 2:28:32
  ランナー盛り上げ隊の高校生バンドが「タイガー&バニー」の主題歌を演奏していた。一瞬、何の曲だったか想い出せずもどかしかったが、サビの途端に脳裏に鮮明に蘇り、思わず笑顔になった。ヤル気が出た。選曲に痺れた。右の靴ズレがちょいと気になりだした頃だったが、負けるもんかと自分を鼓舞することができた。ありがとう、盛り上げ隊!

35km 25:24 2:53:56
  靴ズレは拇指球ではなくて、ナント中指から小指にかけての着地後に体重が乗っていくところ。小さくはなさそうだった。30kmの通過時計を見てムフフと喜んだばかりだったが、着地の度に右足のそれが気になって仕方がない。
 フードがたくさん置いてあるエイド(まいどエイド)でパイナップルに激しく反応してしまい、ほぼ直角的な動きを入れた際、靴ズレはさらに悪化した模様。前回このエイドを無視したことを後悔したので、突発的かつ大胆な行動を取ってしまった。
 痛みは気のせい気のせいと、呪文のように唱えてみるがあまり効果はなかった。ひとまず3度目の補給ジェルでうっちゃることにする。

40km 25:44 3:19:40
  この区間はひたすら高架橋の下を走り続ける。辺鄙なコースに関わらず沿道の声援は依然として切れることがない。35km過ぎからちょいちょい5分を超える時計が出て来た。ギリギリ30分に間に合うか逆算しながら終盤の難所、南港大橋を迎える。5.6%程の上り傾斜だろうか。前回の辛いイメージがあってかなり警戒していたが案外大したことはなかった。この辺りにはコブクロファンが大勢占めており、お目当の小渕さんを待ち構えているようだ。38kmのエイドでスプライトを2杯受け取りラストスパートのエネルギーにした。

FIN 10:46 3:30:26
 間にあわないかなーぁ、と思いつつもラスト2kmからペースアップしてゴールを目指したが、残念、結果は上記の通り。自称サブ3.5ランナー改め、約3.5あるいは過去3.5ランナーになろうと思います。
 結局、時計は及ばなかったけれど、それからどういう訳か出来てしまった靴ズレも痛かったけれど、ラストで余力を使うレースが出来たので、あまり悲観することなく来シーズンを目指せるんじゃないかなぁと感じている。
 故障の連続だった今期を糧にスピード強化に励もう。そうしてまた次回、ナニワの街を走れたらなぁと思うばかり。また来年!(了)
※尚、第7回目の2017年大会はは11月末日開催の予定。




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