2024年9月9日月曜日

2024.9佐渡トライアスロンBタイプのこと(前編)

8/31(土)
 今年、幾度となくトレーニングをした友人らと始発フェリーに乗る。彼はぼくに、今年のトラは8月32日開催ですよねー、と上手いことを言う。どうも開催が1週間早い気がしていたので
激しく同意する。佐渡へ向う途中、そんな他愛ない会話で時間をうっちゃれたので、漠然とした不安に苛まれずに済んだ。
 今回は不安しかなかった。春の宮古島の途中棄権(DNF)、7月の佐渡OWS不参加(DNS)でとにかく自信を持てないでいた。
 ぼくにとっての佐渡OWSは同トライアスロンとセットだ。これまでずっと7月のOWSの際に、バイクで小佐渡を試走、翌日にOWSに参加していた。今年は別日に佐渡練を敢行したけれど、例年のそれには到底敵わなかった。有り体にいえば、本番前の腕試しができていないことが不安要素のかなりを占めていた。

 今年はそんな状況で全くもって自信のないままに本番を迎えた。この文章を書きはじめた(8/31)は最悪といっていいほど気持ちは下がっていた。この日の佐渡の空のようにどんよりとした鉛色をしていた。
 週の頭から列島を騒がした台風10号サンサンの影響は懸念されたほど少なく、日曜の島の天候は問題なさそうだった。天気予報は晴天、気温の予報は30℃を超えていた。
 想定通りなら恐らく気温のピークに走ることになるだろう。昨年、あるいは一昨年の記憶と重ね合わせると想像しただけでウンザリしてしまう。せめて雲が、風が吹いてくれないかと期待するばかり。凪の炎天下は現世に存在する生き地獄のひとつだと本当に思っている。

 両津港に到着。友人らにしばしの別れを告げ、ぼくはバイク自走で河原田を目指す。鉛色の空からはパラパラと雨粒が落ちていた。大した雨量じゃなかったので然程気にせずに出発。新穂を経由して国仲バイパスへ。もうその頃にはいい感じでずぶ濡れだった。平気を装ってはいたが、河原田の宿に到着し、店主から差し出された乾いたタオルの感触に安堵を覚えた。そのタオルが今年のOWSの参加賞で意味もなく口角が上がってしまった。
 身支度を整え、翌日の準備に取り掛かる。午前はずっと雨が降っていたので、宿から傘を借り、徒歩で用事を済ませた。用事といっても買い出しと選手登録だけ。それさえ終えてしまえば準備は完了する。
 ここでひとつ次回のトライアスロンために記しておく。物品リストとスケジュール表は毎度作成するのだが、今後はそれに合わせて、当日レース会場へ向かう際の品物の仕分けについても見える化しようと思う。今更だがこれはあったほうがより良くなるだろう。定物定位というやつで
現地で考える労力を省くことができる。

 手持ち無沙汰の時間ができたせいで、翌日のレースをぼんやり考えてしまう。トライアスロンという自然を相手に長時間動くこの競技は、体調管理が至極重要だ。厳しい環境、特に炎天下となるとぼくは対処しきれなくなる。ちょっとした油断や過信、盲信の類が出力の低下を招く。そのいくつかを経験的に知っているから、なかなかどうして呑気に構えることができない。どんなにトレーニングをしていても、それに見合った納得のいく結果が伴わない場合が少なくなく、力を出し切れる状況の担保がないのが自然下でのスポーツの宿命なのだ。

 夕方。相部屋のAさんの食事をする姿をみて、つい誘われて夕飯の予定を早めることにした。お弁当屋さんに注文した品をバイク自走で受け取りにでかけ、午後5時過ぎには夕飯を食べはじめる。この食事が13時間後の活動源になるのだ。相部屋のAさんをはじめ、他の参加者の方々とおしゃべりをしながら、思いがけず楽しい時間を過ごすことができた。
 PM8時には灯りを消した。いつものことながらなかなか寝付けない。1時間ほどで薬が効いて、断続的で浅い眠りが訪れいつしか深い眠りに変わる。あとは翌朝が来るのを待つだけだった。

9/1(日)
 AM3時半に目覚めた。不安しかない8/32の朝がきた。もう少し眠ろうと瞼を閉じたけれど、10分ほどで再び目が覚めた。いつも思うがほんとうに不思議なものでアラームセットより確実に前に起きてしまう。なにかしらの体内のメカニズムが存在しているのだろうか。
 ベッドから起き上がり食堂へ脚を運ぶ。外はまだ十分に暗い。Aタイプに参加する選手たちが準備で慌ただしい。それを尻目にぼくは朝食をレンチンで温めて、とりわけゆっくりと食事を摂る。こういうレース直前の宿の慌しさにも随分なれたものだとフト思った。

 身支度を整え再度荷物を確認する。準備完了。いつでも会場へ向うことができる。出立の時刻まではまだ十分に余裕があった。なんとしても早く出掛けたくないので、ベッドで横になって眼を閉じる。もちろん寝過ごさないようにアラームをセットしてだ。セットしながら、もしこれで寝過ごして7:30過ぎに目を覚ましたらどんな言い訳をすればいいかを想像した。そういう止めかたもあるのだと思うと、ちょっと気が楽になり力が抜けた。
 おおよそ20分ぐらい。ちょっとした瞑想のような時間になった。もしかしたら眠っていたかもしれない。悪くない時間だった。眼を閉じてレース場面をいくつか想像して、フィニッシュロードを走る自分を思い浮かべる。あとは受けて立つだけなのだ。妻からの直前のメッセで、楽しいことを考えておやりとあり、なかなかいいことを言うものだと感心しながら、楽しい情景を思い浮かべてみた。
 ・・・あんまりないかも。楽しいかどうかは別に安堵できる、ほっとするポイントはあった。それらを考えると気負いのようなものが少しだけ抜けた。淡々と事に当たれば、自ずと結果は出る。もうネガティブなことを考えるのは止めにして、受けて立てと自身を励ました。

 AM5時40分過ぎ、同じくBタイプ参加のAさんと共に会場へ向かう。
 トランジションでの準備は秒とはいわないが、本当にすぐに終わる。なのでスイムチェックまでの時間を見知った方々とのご挨拶に費やした。
 始発フェリーで一緒だったIさんとは漸くここで再会。共にスイムチェックに向った。(続く)

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