ひとつとして同じバイクがないなぁ、と感嘆に似たコメントが耳に入る。確かにその通り。どこか的を得たコメントだと思った。バイクには所有する者の用途や嗜好が投影されていて、それがどこかしらキラリと光るセンスを感じさせる。つい見惚れてしまう。
ぼくは100km走行の部門にエントリー。初めてのバイクイベントだ。長岡、山古志、栃尾の山間のコースをバイクで走る。前夜、先輩サイクリストの女帝ペコわとさんからアウター縛りで完走せよという指令を受けていた。なぜならば彼女が昨年参加した時に実行したからという、MEができるんだからYOUもできるでしょう的な無邪気で、それでいてぼくの変態心をくすぐるオプションが付いた。トレーニングを一緒にする周囲からはいつも、自らを虐げて得る喜びは青天井だという事を教えられているので拒む理由なんてどこにもなかった。
スタートは幾つかの集団に分けたウェイブスタート。スタートするのに少々時間を要したけれど和やかな雰囲気だった。ぼくはコスプレイヤーを写真に収めたり、周りにご挨拶をしたりと、ワイワイガヤガヤやりながらゲートから押し出されるのを待つ。
ぼくらの順番がやってきた。クリークを入れペダルを踏み出す。一路、蓬平(よもぎひら)温泉を目指した。足馴らしに軽めのギアでクルクルとペダルを回しながら、コースがわからないので前を行く集団に取りつこうとペースを上げる。まだ始まったばかりで自制しようと思ったけれど興奮を抑えることができないでいた。
山に向かって走る。山あいの道を通りスノーシェードを抜けると蓬平温泉だった。左折して坂を上ると第1エイドに到着。大勢のサイクリストでごったがえす中チーム潟鉄、H間さんを発見する。
H間さんとぼくのバイクジャージには胸と背中に漢字2文字で大きく「潟鉄(ガタテツ)」とロゴが入っているのだけれど横文字全盛の中「麒麟山」の次ぐらいに目立つ。さぁ2人揃ったところで、潟鉄トレインの出発だ。本来ならば鉄女ママもこの隊列に加わる筈だったが急性ヘルニアで欠場。とても残念だったろうな。彼女の分まで頑張ろうと、ぼくらはバナナとコーラを胃袋にしまいエイドを後にした。
H間さんとぼくのバイクジャージには胸と背中に漢字2文字で大きく「潟鉄(ガタテツ)」とロゴが入っているのだけれど横文字全盛の中「麒麟山」の次ぐらいに目立つ。さぁ2人揃ったところで、潟鉄トレインの出発だ。本来ならば鉄女ママもこの隊列に加わる筈だったが急性ヘルニアで欠場。とても残念だったろうな。彼女の分まで頑張ろうと、ぼくらはバナナとコーラを胃袋にしまいエイドを後にした。
山古志へ向かう。山あいの道を通り抜ける。短い区間で起伏が現れ、ぼくは早くもアウター縛りを呪った。
コースに沿っていくと真新しさを感じさせる平坦な道路にでる。山古志地区だ。中越地震の碑が建てられた前後には震災の爪痕をあえて残したような光景があった。半壊した住宅、土砂に埋もれた自動車。青い雑草がそこいら一帯を覆い時間の経過を物語っている。それでもその景色は当時の凄惨で苛烈だった状況を伝えていた。その横をぼくらはバイクで走り抜ける。
そして、つづら折りの登坂が始まる。バイクで坂を上るというより、山を上るという表現の方が正しい。晴れわたる空に向かって何台ものバイクが山の頂上を目指している。
ぼくはオールダンシング。坂を見上げながらペダルを踏むと、アウター縛りを諦めそうになるのでひたすら下を、アスファルトを見つめペダルを踏んだ。右に左にとしっかり体重を掛け上半身の無駄な力を抜く。ひたすら右、左、右の単純作業。ヘルメットからたくさんの汗が滴り落ちる。とりわけ辛かったのは第2エイドの手前の僅かな傾斜だった。降参しそうになったけれどなんとか踏ん張る。
山古志の第2エイドで一息。冷たいおしぼり、スポーツ羊羹、モロキュウ、それからコーラを頂いた。これから待ち受けているであろう、難所に備えて給水ボトルに水をチャージして頂く。
山古志の闘牛場を過ぎると下り坂になる。トレインは山あいの道を軽快に進んだ。時々、並走し会話をしながら山道を抜ける。あっという間に第3エイド。ここでぽっぽ焼きをいただき、何本かをコーラで流し込んだ。こんなにコーラを飲むのは本当に久しぶりだ。
栃尾市街に入ってしばらくすると反対車線でファイターズさんを発見。潟鉄ミーツ潟鉄。手を挙げ大きく合図する。まさかの1人チャレンジサイクリング、かっこいい!こちらも負けじとモチベーションを上げる。
市街地を進んでいるとスタッフがぼくらをエイドに誘導する。クリームを挟んだコッペパンが配られていた。ぼくのバイクジャージの背中のポッケにはポッポ焼き、クリームコッペ、アミノ酸…パンパンに膨れ上がっている。そしてここでもコーラを補給する。
すぐに出発した。ここからH間さんが先頭の潟鉄トレイン。ぼくは後ろにピッタリとつく。走り出しから巡行速度に達するまでの時間が早い。後ろについているのに体力を消耗する。
栃尾スキー場を通過して刈谷田ダムへと道は続く。眼前には山が聳えていて、つい見上げてしまう。そしてここが2つ目?いや3つ目の難関だった。坂を上る。もちろんアウターで。ダンシングとシッティングを使い分ける。それぞれに使い慣れてきた。けれど甘くはない。上がるにつれて斜度が厳しくなる気がする。念のためにアミノ酸を補給。上りは続く。
坂を上っている道中はアスファルトしか眼に入ってこないのだけれど、時折辺りを見回すと眺めが素晴らしい。眼下に点在する建造物、陽射しに照らされた緑、そして青く広がる空。練習走でまた来てみたいなと思った。
エイドまで1,500mの案内看板からがさらにきつかった。半ば苦悶の表情で坂を上っていると横から、アウターですかぁ!と声を掛けられ、ハイちょっとした罰ゲームです、と応える。スゲーっと言いながらその方は軽々と先へ進んで見えなくなった。ホント、凄いのはペコわとさんです。心の中で呟いた。
栃尾スキー場を通過して刈谷田ダムへと道は続く。眼前には山が聳えていて、つい見上げてしまう。そしてここが2つ目?いや3つ目の難関だった。坂を上る。もちろんアウターで。ダンシングとシッティングを使い分ける。それぞれに使い慣れてきた。けれど甘くはない。上がるにつれて斜度が厳しくなる気がする。念のためにアミノ酸を補給。上りは続く。
坂を上っている道中はアスファルトしか眼に入ってこないのだけれど、時折辺りを見回すと眺めが素晴らしい。眼下に点在する建造物、陽射しに照らされた緑、そして青く広がる空。練習走でまた来てみたいなと思った。
エイドまで1,500mの案内看板からがさらにきつかった。半ば苦悶の表情で坂を上っていると横から、アウターですかぁ!と声を掛けられ、ハイちょっとした罰ゲームです、と応える。スゲーっと言いながらその方は軽々と先へ進んで見えなくなった。ホント、凄いのはペコわとさんです。心の中で呟いた。
ここからはかなりの急傾斜の下り坂。道中でスタッフの方が減速を指示している。その指示がなければ相当なスピードで急カーブに突っ込むことになり危険極まりなかった。下りのスピードに身を任せ次のエイドをめざした。
気がつけばポッポ焼きをもらったエイドに到着。栃尾を1周したわけだ。ここからゴールまで残りは20kmを切っていたと思う。まもなく正午。ぼくは少し空腹を感じポッケにしまっていたコッペパンを頬張った。隣のサイクリストに声をかけると、最後に相当辛い上り坂があることを教えてくれた。心して取り掛かろう。潟鉄トレインはエイドをあとにした。
気がつけばポッポ焼きをもらったエイドに到着。栃尾を1周したわけだ。ここからゴールまで残りは20kmを切っていたと思う。まもなく正午。ぼくは少し空腹を感じポッケにしまっていたコッペパンを頬張った。隣のサイクリストに声をかけると、最後に相当辛い上り坂があることを教えてくれた。心して取り掛かろう。潟鉄トレインはエイドをあとにした。
エイドから出て、すぐにその辛い上り坂は始まった。今までより坂が長いのだろうか。道の途中、坂を諦めてバイクを押している方が少なくなかった。ぼくは彼等を横目にダンシング&シッティング。決して速くはないが確実に坂を進んだ。
大概の辛いことはいつか必ず終わる。終わらないことはない。終いまで付き合うか、途中でやめるかの二つに一つ。それは自身の選択次第。そんなことを何度も頭の中で繰り返した。
右、左、右、左…踏み込むペダルに体重を乗せる。汗が滴る。すると漸くエイドの看板が目に飛び込んできた。
ここに入ってくるみなさんは一様に疲れを隠せないようだった。もちろんぼくもその1人。冷たいコーラを喉に流し、スプレーで四頭筋をアイシングする。一息ついた。
ぼくらはゴールを目指してペダルを踏んだ。少し上ってからしばらくは下り坂。その下りの終盤、なんとファイターズさんが坂を上っている。奇跡の2度目のすれ違いだ。ここももちろん合図をかわし、それぞれの進むべく方向へとペダルを踏んだ。
坂が終わり、見覚えのある道に出る。サイクリスト達がまばらな列を作って同じ方向へ進んでいる。ペダルを踏み込んだ。スタートした会場が見えてくる。周囲もペースアップする。イベント名が印刷された2色のぼり旗がぼくらを迎えるようだ。ゴールはすぐそこだった。
フィニッシュゲートをくぐり、片手でガッツポーズ。そのままトランジションエリアまで行きバイクを降りた。ぼくの時計で5時間10分。13時前に帰って来ることができた。そしてアウター縛りも達成。ペコわとさん、やりましたヨ!ということでこのイベント、アウター縛り部門が新しく出来ました。
完走後、ふるまいフードの山古志汁と栃尾のあぶらげで舌鼓を打ち小腹を満たす。フィニッシュゲートを通過するアナウンスと歓喜の声で終始会場は賑やかだった。その雰囲気も独特な感じがして、また来年も参加したいと思った。
最後に。大集団がゴールを目指して坂を上ってくる。黄色、ピンク、黒の鮮やかなバイクジャージ。皆のジャージにはORZのロゴ。先頭はA木さん。次々とフィニッシュゲートをくぐる。みんなでフィニッシュする姿は圧巻、そしてちょっと感動的だった。これこそが自転車乗りなのかもしれない、そう思った。(了)
2 件のコメント:
初めてコメします(^^)
アウター縛りで完走とはかなりのどMですねw流石です!
え?私?
言い忘れましたが、道院の坂から脚が攣りそうになったのでインナーチェンジしましたよ〜チャンちゃん(笑)
ペコわとさん、初コメありがとうございます。
え?ホントに?
心の支えはペコわとさんも頑張ったから、ぼくも頑張ろう!ただそれだけだったんです。
道院ヒュッテまではほんと辛かったですね。
お陰で良い想い出が出来ました。ありがとうございましたm(_ _)m
コメントを投稿