2015年8月3日月曜日

'15.7.26 福島潟駅伝のこと

 福島潟から真っ直ぐに延びる放水路は治水の代償に生活道を分断した。そのためだろうか、そこには岸を結ぶための幾つもの橋が架けられている。
 福島潟駅伝はその放水路の土手と並行する道路と、それらの橋を利用した1周3kmのコースを5人で襷を繋ぐこの季節の恒例行事だ。
 今年、ぼくは男女混合チームの第2走者として参加。昨年の走破タイムは12分1秒。数字を眺めるとあと2秒だけ時計の針を左に回したくなる。…という訳で個人目標は12分切り、自信はないけれどおもいっきり走ろうと決めていた。

 AM8:30。定刻通り男女混合の部がスタートした。第一走者のヒグマサさんを見送り、ぼくはアップを開始した。ジョグと短いダッシュ走を数本やって心拍を上げに掛かる。この日の陽射しは容赦してくれず、ちょっと動いただけですぐ汗だくになった。早々に脱水しそうなので待機場所で給水しながら襷を待つことにした。



 スタート地点に戻るとちょうどトップが入って来た。それから続々とランナーがやってくる。我が走友会の快速王のF井さん、それからぼくらの襷を持ったヒグマサさんが現れる。
 大きく息を吸ってスタートラインに立つ。気持ちを走ることに集中する。
 坂を駆け上がってくるヒグマサさんから、襷をしっかり受け取った。始まりだ。ややピッチ走気味に脚を回しながら手に持った襷を身体に掛ける。
 最初の下り坂で加速して勢いをつけた。すぐ次の起伏は上りのフォームと下りのそれをキチンと使い分けた。卒なくこなせている。そんな風に冷静に入った最初の1kmは3分42秒。時計を見た瞬間、こんなペースは最後まで持つハズはないと思った。胸いっぱいに息を吸ってとにかく脚を動かすことに専念する。

 半分ぐらいの距離に位置する橋を渡る。その橋の下り坂を通過したあたりから本格的に息が苦しくなってきた。呼吸が荒ぐ。いや、もっと前から苦しくなっていたのかも。そうして2km通過が3分58秒。あと1km。なんとかこの貯金で粘りきりたい。身体の動きをコンパクトにしてスパートに備える。脚は鈍り始め呼吸と心拍はほぼ上限閾値に近かった。

 スパートを掛けるポイントの入り口でメグメグさんと骨っ娘さんの応援を受ける。ぼくはチラと反応する。走友会のもう一つのチームの未来ママの背中が前方に見え橋を渡っている。その背中に少しでも追いつこうとぼくは力を振り絞る。ゴールはもうすぐそこだ。

 橋の中腹からの下りを利用して、大き目のステップで路面を蹴りながらロータリーの折り返しのパイロンを目指し、そこを折り返して次の走者のいるゴールへ向かう。襷を渡す手前の、最後のちょっとした上りで失速しないようにしっかり脚を動かす。そしてそこを上りきるほんの少し手前で襷を広げ次走のGOさんに手渡した。その次の瞬間ぼくは腕の時計のボタンを押した。
 11分57秒。
 膝に両手を付きながら肩で大きく呼吸した。今年の暑い夏は始まったばかりだ。(了)


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