2019年9月9日月曜日

2019佐渡トライアスロン Bタイプ出場 後編

前回からの続き。
《バイク》
 勢いよくバイクを押しながら乗車ポイントを通過、かっこよくサドルにまたがろうとしたけれど、ペダルに脚を滑らせてしまい一旦停止。いつものように、どっこいしょっとサドルに腰掛けてやんわり発進。一緒に海を泳いできたVESPAPROを背中からやおら取り出し、グイっと一気に吸い込んだ。どうかトラブらないようにと愛機に語りかけながらDHポジションをとる。さぁ、都合3時間半の旅の始まりだ。

 国中平野を突っ切るバイパスを通り両津へ向かう。この辺りではたと追風の恩恵に気付く。アクセルをふかさぬようにペダルを回すも40km近く出てしまう。BPMは出来ているので幾らでもペダルは踏めた。バイク前半はいつもこうだが、こなさねばならない距離を考えると調子にお任せという訳にはいかない。自重を心がけ計画通り補給を摂りながらペダルを踏んだ。
 加茂湖周辺から互いに抜き差しをくり返す選手に、ぼくは追い抜きざまに、25秒ルールでネ!と声を掛けると、サングラス越しに笑顔が浮かぶのが見えた。それを合図に積極的に前へ踏み出した。
 沿道の声援が増える住吉の上り坂、トランジションでご挨拶したミキティーさんを発見。こちらから声を掛けると、すぐさま手を振りながら声援をもらう。

 内海府の印象に残るのは向かい風だ。これまでの経験では追い風が多かったが、今年は逆。それほどキツくはないが油断できない箇所がいくつかあった。アゲインストの風といえば宮古島だが、それと比べると地形に助けられる場所が多かったかもしれない。
 サドルのやや前に位置して、ペダリングはフロント部にチェーンを掛けるよう意識して、足裏が道路と平行のまま、時計方向で2時ぐらいまで踏んだら反対の脚を意識する。右、左、右、左と拍子をとりひたすら繰り返す。今期定着したぼくのペダルイメージに徹して風を凌いだ。

 次にエイド。やはり宮古島との比較になってしまうが、減速してボトルをキャッチするスタイルは消極的に感じたが、安全を考慮する大会の方針に従うまで。ボトルを手渡そうとする彼らボラとの間合いを詰めながら、左手を出してしっかり受ける。これで取り逃がすことはなかった。
 ただし、事前にこちらのリクエストを訪ね、その方が拡声器で前方に伝達するのだが、ほぼ全員が自身の持つボトルを声にしながらこちらに訴えてくる場面があり、こちらとしては戸惑い躊躇してしまう。またエイドをパスするつもりで、おーえーん!とリクエストしたら無反応だった。昨年は、いりませーん!と返したら、おーえーん!のと指令が下り声が飛び交ったものだが…残念である。

 そして小木からバイクフィニッシュまで。
 赤泊辺りからちょいちょいと絡むリレーの選手を目標に小木の坂に臨んだ。坂の前半で余力を残していたら、かの目標がどんどん先へ行ってしまう。あれはまさしく力の差。こちらもそれ以上離されないように、さりとて消耗しては元も子もないので、ほどほどに背中を追いかけた。あれは終盤の励みとなった。
 K合さんお気に入りの喫茶「しまふうみ」の坂を下ってから追い風の恩恵を受ける。オーバーワークは承知だが、宿泊する八幡館までは、そのままいこうと決めてペダルを踏む。その理由は今回のバイクコース変更にあった。
 今回のコース変更は、350号線、八幡館横の佐渡博物館から脇道に入りトランジションを目指すのだが、前日の下見でカーブやクランクが多く、ぼくの技術ではスピードは出せないことがわかっていた。然るに、その残り僅かの距離をランに向けたBPMの調整や補給に充てることにしたのだ。
 バイクフィニッシュ後、ランの支度をしながら時計を確認すると11時38分、あいかわらず計画に対してはビハインドだ。バイクトランジションでT藤さんから応援をもらったので、楽しんでくるよ!と軽く強がりを返し走り出す。

《ラン》
 走り出しはいつもサドルの上とのスピード感のギャップや無風感(暑さ)に、時間がゆっくり進むような錯覚に陥る。自分の息づかいと、アスファルトを踏む足音だけの世界がひろがる。着地の衝撃が下半身のこわばりをほぐし、歩を進めるごとにラン感覚が目覚めてくる。前半はキロ毎のラップを逐一確認する。が、思うようにスピードは上がってこない。というか上げられないので、昨年の轍を踏まぬよう現状キープに徹しチャンスを伺った。

 エイドで氷水をたっぷり含んだスポンジをもらっては身体を冷やす。なんども繰り返しているうちに人間もPCも一緒だと思った。30℃以上の気温は僕が屋外で活動する限界の気温だ。とにかく暑さには弱く脆い。

 畑野地区の坂は、なんども繰り返してしまうが宮古島のランコースと風景が重なった。あそこはこれが幾重にも繰り返されピーク(頂上)へ向かっていくのだが、こちらは往路の前半部が最たる難所という認識で臨むべきだろう。畑野ASの折り返し以降の復路は、下り基調なので前半より楽に感じる。これまで3度走っているのが今回改めて気がついた。

 復路、畑野の信号を右折する際に、眼前の外国人のランナーの抜きざま、「ゴーフォーイット」と声をかけられ、無言で右手を上げて返す。サンキューと言うのもおかしいし、この場合どう返答したら良いものかと中学英語の頭の中を探っていたら、リレー初参加のR子さん、そのしばらく後方にソロ初参加のHさんがやってくるのが見えた。それぞれに声を掛け、次のエイドの氷水に想いを馳せながら脚を前に出した。ただただ暑さを呪い涼風を願った。

 金丸ASで身体を冷やす。ここで残り5km。時計を確認したがよく覚えていない。陽射しに照らされたアスファルトに目をやりながら黙々と前に進むだけだった。
 住宅街へ入ろうとする頃、往路側からぼくの名前を呼ぶH澤さんの声がする。すれ違いざまにバチんと!と元気よくハイタッチ。これも毎年恒例である。ラストに向けて彼女から力を分けてもらう。
 住居地域を抜け、350号線までくればあとは佐和田の市街地を抜けるだけ。ぼくは迷わず力強く脚を前にだした。
 そしてフィニッシュゲートへ。今年も家内と長男が同伴ゴールを決めててくれる。早く早くと急かされながらゲートまでの直線は思い切り駆けた。ゲートの登りで左ハムが攣りそうになりフィニッシュ!ぼくの今年の夏が終わった瞬間だった。

N藤スポーツ撮影

 結局今年も時計目標は達成することはできなかった。ただし、嬉しかったことはピタリ賞かつ、年代別でかろうじて一桁に入ったことだった。今年の率直な感想はずばり「軽量化は正義である」ということだった。では、また来年!(了)

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