2023年9月7日木曜日

2023佐渡トライアスロンBタイプ出走のこと①

 9/2(土)の佐渡ジュニアトライアスロンは熱暑の続く天候のために中止となり、日曜の大会にも何らかの対応があるのではと憶測が飛ぶ。9/3(日)の予報最高気温は34℃。きっと参加する選手誰もが固唾を呑む想いで運営の発表を待っただろう。
 ぼくは炎天下でのレースは是が非でも回避したかった。朝からピーカン、おひさまサンサンでは確実に熱にやられてしまうだろう。昨年の如くリタイヤしかねない。ならばいっそのこと天候(気温)が思わしくなかったら、こちらからDNSを申し入れることもあろう。が、そうはいっても昨年のこの大会のことが頭から離れない。なんとかならないものと願うばかりであった。
 また良くないことは重なるもので、レース目前にして左足首に水が溜まり、足首の自由が奪われる。火水曜は仕事終わりに整形外科で診てもらう。2日間両日とも、くるぶしに打ち込まれた注射針から吸い上げられる黄色がかった透明の液体は、ぼくを弱気にさせ不安に陥れた。左足首を自在に動かせない。あらゆる動作に違和感が、場合によって痛みが伴った。さらに地味な嫌がらせで左腕のGarminには「アンプロダクト」の表示が・・・。
 昨年、自らの意思でラン途中でDNFを選択したことに、果てしない後悔を感じていた。判断は間違っていない、頭ではそうでも心は違った。二律背反。そういう気持ちでずっとこの1年を過ごしてきた。今年は是が非でも完走したい。しかしそんな願いとは逆に立ちはだかる事柄でこころが揺らぐ。


 「国際」と銘打ち日本最長の距離を謳う佐渡トライは、津々浦々の猛者が集う大会だけに、運営は難しい判断を迫られていただろう。
 水温30℃外気温30℃になると競技の熱中症の発症率がぐんと上がるらしく、その辺が判断の肝だったと推察された。
 そして、関係各位の願いが天に届いたのか、前日の午前中にまとまった雨が振り、終日に渡って空を覆った雲が高止まる海水温を冷やしたのか、大会当日早朝、承知のように予定通り開催の発表があり、界隈で歓声が湧いた。
 予想最高気温は32℃。暑いことには変わりない。が、何かしらの工夫で乗り切れそうな具合になった。

 大会前日、お昼を過ぎた頃、ぼくは宿泊する河原田に汗だくになりながらバイク自走で到着した。選手受付やレース用の補給の買い出しなどを済ませ宿にこもる。ドミトリーなので、必然的に他の宿泊者と挨拶を交わす。当然のように、ほぼ全員が大会に関係する面々であり情報交換に花が咲き、あっという間に時間は過ぎていった。
 トライアスロンはそれぞれに立てる目標をお互いに尊重し合う傾向が他の競技よりずっと強い。自身に克つ。全てがここに収束する。それさえわきまえていれば気持ちよく話せるというのはそうはないだろう。この競技の良いところのひとつだ。
 夕刻。先月参加したOWSの際に、この日のもろもろをお願いした食堂に足を運ぶ。こちらからの一方的なお願いだったので、一抹の不安はあったが、それは全くの杞憂だった。
 しっかりとした朝食のお弁当を準備していただき、補給には事欠かない状況が完成した。そしてまた地元の方々と様々な話題に花が咲き、心の和むひとときを過ごすことができた。
 こちらに宿泊するようになって、僅かだが人との繋がりを持つようになった。この街の人々は我々アスリートに寛容だ。話し込むとわかるのだが、近所の方々は良い意味で平坦で、競技自体にはあまり興味はないのだけれど、夏の終わりの風物ではあるらしい。ぼくにとっても、声援をおくる彼らにとっても、この格別に暑い夏の特別なおもいでになればいいなぁと思った。

 当日。am3:00過ぎには目が覚めて、 am4:00前には朝食の席についていた。同じBタイプに参加する面々とお話をしながらの食事は時間を忘れた。それにしても不思議なぐらい緊張感がない。海に湧くクラゲ情報、左足の痛みと今日の気温、まるで気にならない。おいお前、ちょっと危ないぞ、もう1人のぼくが警告する。多少の緊張はあった方が無難だぜ。予期せぬ出来事で、簡単に折れてしまう精神領域に近づいているのを教えてくれる。諦めたら終わり。ゴールへの執着。心昂ぶるともしびは点っているのだけれど、どうも火力が小さい。冷静と情熱のバランスがほど良いのかもしれないが。
 宿をあとにしたのはam5:30過ぎ。ぼくが最後だった。いってきます!女将に送り出され、バイク自走で会場へ向かった。

 今回もリアライトと警笛鈴の装着を確認された。もちろん入場は問題なし。トランジションのセッティンク、に選手受付を済ませ、そしてお待ちかね、同じチームジャージをまとったK夫妻とのご対面、実に4年ぶりだ。ひと眼みて仲間とわかる存在は頼もしい。
 そのKさんと共に試泳会場に入る。もうこれで外には出られない。スタートまで40分。砂浜を照らす陽射しに力が増し、暑くなりそうな気配しかない。波がほとんどない海には、先立のAタイプの選手が泳いでいる。
 やはり高揚も緊張はなかった。号砲が鳴ったら作戦通り泳ぐのだ。まずはそれからだ。ぐるり1周してしまえば良いのだ。今のコンディションならおそらく自己ベストは出せるんじゃないか。いや出す。心のともしびがちょっと大きくなった。(続く)

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