2024年4月19日金曜日

2024年4月 宮古滞在記③ レース当日からスイムまで

 宮古島トライアスロンはバイクフィニッシュして、ラン2kmあたりでリタイアを決意しDNFを申告した。

 ある方から’’DNFを含めて最後まで頑張ったんだ’’という言葉を掛けていただいたが、ぴたっと腑に落ちる感覚を得て救われた。時間が経つほど、喉もと過ぎればで後悔の念が肥大しそうになるが、この言葉を思い出して自傷的妄想をとどめている。

4/14(日)

 レースの前夜も大汗をかいて2度着替えた。それに細切れの睡眠となってぐっすり眠れなかった。それでも努めて早く就寝したのでトータルで6時間ぐらいの睡眠時間は保てたか。

 午前4時に起床。前夜に買ったお弁当を朝食として腹にしまった。荷物の確認を行い未明の下地の街に出る。宮古島在住のMさんのブラザーに合流して会場まで送ってもらう。

 現在Mブラザーさんは16頭の牛を飼う農家を営んでおり、今日も仕事だそうだ。生き物に合わせて生活をするのでお休みはない。初対面だったが思い切って牛の取引について質問すると、想像だにしなかったいくつかについて話してくれた。大変勉強になる。乗せていただいた車には飼料や仕事道具も載っていて、彼の生活の一端に触れた気がした。


 未明の東急はトライアスリートでごったがえしていた。ヘッドランプを点けてバイクラックに向かい最後の準備を行う。なにもなければ空のボトルに補給材を入れるだけだった。

 バイクカバーに触れると気温差からくる結露だろう、カバーがしっとりと濡れていた。2019年に使ったカバーを持参したが、荷物になるので次はぼくも使い捨てにしたい。どうせ預託するのだから運営に準備していただいても・・・というのは贅沢か。

 タイヤの空気が入っていることを確認。大きくひと安心。メット、シューズ、村長(アヒルの呼び鈴)を目視する。サイコンは・・・あるわけないか。スイムフィニッシュ用の袋をラックのフックに掛けて支度は完了した。


 あたりはまだ十分に暗い。あっさり準備を終えてランの赤い袋、フィニッシュ後の緑と、荷物ひとつひとつを丁寧に確認してトラックに預け入れ、あらかじめ決めておいた集合場所へ向かった。チームの2人はすでに腰を下ろして待っていた。

 3人の集合写真を近くにいた方に撮っていただく。ちょうど陽がのぼり始める頃で朝日がぼくらを照らした。皆それぞれによい表情の写真だった。


 スイムチェックへ。スイムの会場へ向かう。すでに大勢の選手が試泳をしている。潮が左から右へ流れているのがひと目でわかった。ぼくはスタートする浜から50mの立体型の黄色のブイを目指して泳いだ。ストレッチタイムを長めにとると身体が右へ流されるのがわかる。沖へ出るほどに流れがキツくなることを知るのは本番を迎えてからだった。


 スイムは1,300人の一斉スタートだ。ただしプラカードに示される泳力の目安に応じて整列する。ぼくは完泳1時間以内と1時間後のちょうど境ぐらいに位置を取った。砂浜に座ってスタートを待った。そして定刻7:00、レースがスタートした。

 ついに始まった。海へ駆ける。ぼくはゆっくり海に入り、しばらく歩いてから意を決して海に飛び込んだ。海水は透明に透き通って、波打つ砂底が鮮明に映った。しかし、そんな感慨にふけるヒマなどない。早速バトル開始。なるべくやり過ごそうとするが次々と追い立てるようにやってくるスイマーには無力しかなかった。進行方向を見誤らないよう目印のブイを目視しながら、スイマーの群れに身を置いた。


 潮の流れのおかげで折り返しのリターンの黄色のブイまでは思ったほど時間は掛からなかった。ただし、折り返すと状況は一変し、潮の流れと波で進行を妨げられ、しかも相変わらずのバトルモードでなかなか前に進めない。地元の離岸流のきつい海の練習を思い出した。行きはよいよい帰りは・・・。進行方向の目印を見つけようにも海面が盛り上がって先が見えない。周囲を観察しつつ、こまめに前方確認を入れる。

 スイムコースの形状から復路は左側に寄った方が良いとは思ったが、間違って大きく流されると厄介なので右のブイの位置を把握しながら進んだ。結果1周回コースの真ん中あたりの浜に到達した。


 2周目。給水を済ませコースロープのギリギリを狙って再入水。しかしこれは完全な選択ミスだった。潮に流されてストロークごとに右の掻き手がロープに当たった。何度か試したが潮に身体が右に流されてしまう。諦めてインから離れるが、内側すぎないコースを皆がこぞって狙っていたようで接触が重なった。

 プレッシャーエリアから抜ける頃には左右ともにストレッチタイムを長めにとり、潮の流れに乗るイメージを描き楽をした。すると思いの外早くリターンのブイが現れた。

 

 復路。往路は自由に泳げていたのだが方向転換した途端、周囲にたくさんのスイマーがいることに気がついた。潮に流されて接触が度重なる。それにヘッドアップしても前方が上手く確認できない。他を避け、かつ潮に流され過ぎないようにと、小さいキックを追加して推進力にする。そして心拍をあまり上げないように搔きのピッチにも気を配る。ここまで一定のリズムで泳げていることに安堵を感じ、一刻も早く浜に辿り着くことを願った。進むにつれて海底の景色が変わる。白砂になればあと少しだと言い聞かせた。


 はやる気持ちと裏腹に潮に阻止されてすんなり砂浜には上がれなかった。ギリギリまで泳いで立ち上がると、右のハムと左の脹脛が攣りそうだった。

 前進で重力を感じながら、砂浜を駆け足で進む。時計を確認するとスタートから1時間10分が経過していた。距離が伸びることでの泳力の劣化もさることながら、おそらく潮の流れで余計な距離を泳いでいるのだろう。給水でコーラをもらったが、口にしたシャワーの真水の方がずっと旨かった。(バイクへ続く)

0 件のコメント: