鉛色の空の下、青い海に浮かぶ来間大橋が見える。ぼくはスイム会場を早速試泳をする。水は少し冷たかった。選手の芋洗いのなか浜から1番近い立法体の黄色いブイを目印にする。浜からすぐのところでも潮の流れは強くグライドが揺さぶられる。
ぼくは意識して手の甲を内に、肘を上げてゆっくり肩を回した。身体の各所のセンサーを働かせて水を感じる。眼前にひろがる透き通る水と海底の白砂に心が揺さぶられた。トライアスロンで世界を転戦するチームメイトに言わせると、この宮古の海は別格らしい。
浜から黄色のブイを1往復もしなかったが試泳は終了。プラカードを参考におおよそのスタート位置を決め、砂浜で体育座りをしてその時を待った。ふと脚の親指に目が止まる。足につく砂はよく見知ったそれではなく珊瑚なのだろうか。乳白色できめ細かい粒に星を思わせる形状のものがついていた。
浜から黄色のブイを1往復もしなかったが試泳は終了。プラカードを参考におおよそのスタート位置を決め、砂浜で体育座りをしてその時を待った。ふと脚の親指に目が止まる。足につく砂はよく見知ったそれではなく珊瑚なのだろうか。乳白色できめ細かい粒に星を思わせる形状のものがついていた。
待機しているあいだ昨年の伊是名を想い出した。ぼくにとってのスイムの苦い経験のひとつで、教訓にもなった出来事だった。予測し得ないことが起こったとき、冷静に対処できるかがスイム(バトル)の肝かもしれない。泳ぐ速度は然程変わらないけれど、ようやく自分なりのフォームの抑えどころを見つけ、この宮古島の海で通用するのかを楽しみにしていた。
両手で両頬をパンパンと叩き喝を入れる。勇気を持てと鼓舞する。ここまできたのだからあとは自分を信じるだけだと。
定刻7:00。号砲と共に第39回宮古島トライアスロン大会の幕が開く。歓声が上がる。皆につられるように海に入り数歩進んで水へ飛び込んだ。始まった。澄明な海水が浅瀬の隅々を鮮明にする。海底の砂の様子までもが手にとるようだった。
お約束のバトル。もみ合いながら沖へ向かう途中、今回はゴーグルが2度もずれた。そのうち1回は盛大に外れ立ち泳ぎながら装着し直した。何事もないように冷静に対応したが、改めて思うと我ながら感心する対処だった。
1周目は27分台と想定以上だった。気を良くして2周目はコースの内を突いてブイに沿って進んだ。流れが強烈だとブイやロープに途端流されるのだが、潮流はそうでもなかく一定の距離を保つことができた。
海底の様子がよく見えるのでヘッドアップで前方を確認しつつ珊瑚の形状や特徴を重ね合わせ進行した。ヘッドアップとブレスの数を軽減、顎を引いて頭頂のセンサーで水面を感じストリームラインの形成を心掛ける。他選手との接触さえなければ普段のプールスイムの練習みたいだった。
終盤、浜に設置されているオレンジの三角錐のポール目掛けていたら、ややコースの外側に膨らみライフセイバーから方向修正の指示をもらう。
目論見通りにスイムを終え砂浜に立った。無事に泳ぎ切った安堵を感じ、スイムフィニッシュ地点まで小走りで進む。息を弾ませながら背中に忍ばせた補給で海水で塩辛くなった口直しをした。
(スイムアップ57:06)
(スイムアップ57:06)
シャワーでウエットを脱ぎバイクラックへ向う。両手に荷物を持っていたのでエイドはスルー。自分のバイクに到着し両手の荷物をスイムバッグに突っ込んだ。DHバーに掛けたメット、ネッククーラー、ゼッケンを順に装着、ラックからバイクをおろし裸足のまま乗車ラインを目指す。
ラインを超えたところでサドルに飛び乗ろうか迷ったが、周囲に人がいたので接触を懸念して一時停止。右脚でバイクを跨いでビンディングに装着済みのバイクシューの上に脚を置き、ペダルを踏んで助走する。サドルに跨ってペダルを回しながらシューズに脚を入れる。
東急からコースに出ると補給ボトルを口にした。かけ水も使う。自身の状態を鑑みながら次のエイドまでにボトルをひとつ空にすることを忘れなかった。
薄雲っていた空がいつのまにか青空になる。雲はいつも風に乗っている。ぼくらはバイクで移動する。とにかく天気はよく変わる印象だ。太平洋に浮かぶ島国ならではの気候だろう。
平良(ひらら)では沿道から「ワイドー」といくつもの声援が飛んだり、トントントントンと乾いた太鼓が鳴った。シャァァーと鳴るアスファルトとタイヤの摩擦音が耳に心地いい。
不意に空から雨がぱらつきヘルメットのシールドに水滴がつく。そこに陽光が反射して視界を妨げる。それも悪くなかった。DHバーを握りながら右手でシールド水滴を拭う。眼前のアスファルトが濡れて光る。いくつもにきらめく光の中を知らない道路を愛車と共に風を切った。ペダルを踏むのが楽しかった。宮古島の天気と人々の応援に乗った。いくつかの瞬間ごとの風景を想起できる序盤だ。
池間へ向かう直線は風に押されて背中に翼を得る。ぼくは調子に乗り過ぎないようにセオリー通りのペダルに終始する。ペダルを踏み込むのほんの手前のところでもう片方の脚に意識をやって同じようにペダルを踏む。それらを交互に繰り返す。左右に踏むリズムがケイデンスとなり、背中の翼と合わさる。ギアを上げてリズムを自分好みにする。ハンドルや体重移動を気にしなくて良いところではチェーンがアウターに絡め取られる想像をする。
Garmin(サイコン)の示すアベレージ速度が気分を上げる。冬期間のバイク練はもっぱらジムのエアロバイクと筋トレで屋外の実走は直前の2度だけだった。この感じだと練習は間違ってはいなかったようだ。以降のバイクとの関わりについて想像すると楽しみしかない。
無数にある短い上り坂もセオリー通りサドルポジションを変え踏破する。下りはフルクラム(ホイール)に仕事をしてもらう。DHばかりを握るのでなく下ハンも使う。走り終えたので言える台詞だが、長いようで短いバイクパートだった。ペダルに集中、というか没入できていたのかもしれない。
無数にある短い上り坂もセオリー通りサドルポジションを変え踏破する。下りはフルクラム(ホイール)に仕事をしてもらう。DHばかりを握るのでなく下ハンも使う。走り終えたので言える台詞だが、長いようで短いバイクパートだった。ペダルに集中、というか没入できていたのかもしれない。
再び平良を通過する頃には午前中内のランスタートを意識した。そしてあまりにも無事にこれたので、突如として起こる厄介にに巻き込まれないよう、周囲をよくみて慎重にペダルを踏んだ。
(バイクアップ3:51:03)
0 件のコメント:
コメントを投稿