2.バイク(66㎞ 1周15㎞4周半)
T1(スイム➝バイクのトランジション)。ぼくの両脇にバイクが掛けられることはなかった。こういうこともあるんだな。ラックの角だったので十分すぎるほどパーソナルスペースを確保できた。
T1(スイム➝バイクのトランジション)。ぼくの両脇にバイクが掛けられることはなかった。こういうこともあるんだな。ラックの角だったので十分すぎるほどパーソナルスペースを確保できた。
ウェットやキャップの類を専用の収納袋にしまい、DHバーにかけておいたゼッケンを腰に装着してヘルメットを被る。準備完了。
尚、受付時に配布された専用袋に入れた道具はT2へ運搬される。骨の折れる作業だろう。みなさんご苦労さま、そしてありがとう。
2列に並行するバイクラックの間を足早に抜けて乗車ポイントを超えサドルに跨る。シューズを踏んでペダルを漕ぐ。バイクが惰性で進んでいるあいだ、シューズに足をつっこもうとするがなかなかどうして手こずってしまった。そうこうしているうちにバイクコース本線と合流する。朝の穏やかさは消え、強い風を感じる。シューズのマジックテープをしっかり留め、前を見据えた。バイクパートの開始だ。
漕ぎだすと脚に鈍い痛みを感じた。いつものやつだ。スイムを終えた脚がペダルを漕ぐのを嫌がっているのかな。これはどういう理屈で起こるのか知りたい。自分だけか?子供の頃、急に走りだすと脇腹が痛くなるのに似ている。痛みを刺激しすぎないように注意を払ってペダルを踏む。時間が経てば痛みは失せるのでしばらくの我慢。補給を口にして気をそらす。
バイクコースはスイム会場から海岸線をなぞり、T2のある仲田港に向かう。島を1周、距離にして15km。それを4周回半走る。
コースはカーブが多い印象。今回は道路工事のために迂回コースがあっていくつかのクランクがあった。また丘や岬のちょっとしたのぼりはあるが、登坂のポジションを取るのは1箇所だけ。島を覆うように吹く風は強めで、進行方向に順じてその向きが変わる。
1周のLAPタイムは26分台。向かい風には逆らわず、追い風では張り切りすぎない。下りではフルクラムにしっかり仕事をしてもらうといういつもの乗り方だ。
前回転倒した周回計測のバックストレッチからの下り右カーブは十ニ分に気をつけた。1周目はちょっとやばかったけど。
あっという間の4周回半。想定通りの時刻だった。残り3km地点ぐらいから心拍に注意を払いながら(150台から140台へ落とす)ペダルを漕いぐ。降車ラインでバイクを降り、裸足でT2ラックへ向かいながら、今回もまた無事にバイクの旅を終えたことを相棒のキャノンデールに感謝した。
(バイクフィニッシュ 2時間7分)
3.ラン (20㎞ 10km折り返し)
T2ではスタッフがラックまで誘導してくれる。宮古島もそうだとふと思い出す。ぼくのT2はランのスタートゲートに1番近い場所だった。
バイクをラックに掛け、ヘルメットを脱ぐ。早朝にセットしたラン道具の袋をラックからほどく。ランシューズはちゃんと履きたいので腰をかけられそうな場所をみつけて、そこで準備をする。
サンバイザー、サングラスに暑さ対策の保冷帯を首に巻く。補給バッグを腰に装着したのだが上下逆にしてしまい、補給が取れないことに気がついて付け直す。
前日バイク試走したあと、このT2スタートからはじまる上り坂をランニングした。昨年に苦しんだポイントのひとつだった。のっけでやられてしまったのでその影響は大きかった。坂のピークまで2.5km。無理せず進もうと考えていた。
補給のVESPAを口にしながらランゲートを抜ける。いってらっしゃーい!の声援をいくつももらう。ゲートをでるとすぐ傍にあるエイドに寄った。ここのエイドは島の小学校高学年の子らがお手伝いをしている。お世話になっている宿の親戚の子を探す。ぼくらの応援用のうちわを作ってくれた男の子だ。
水を張った青いポリバケツの前で、柄杓を持つ彼をみつける。いってきます!と声をかける。すると隣の子が不思議そうに、誰?知り合い?と尋ね、彼は尋ねた子の方に顔を向け頷いてみせていた。そして俯き加減でこちらを覗き込むようにして笑顔をみせる。シャイボーイなんだわ。聞くところによると昨日の島の子供らのキッズトライで1着になったとのことだ。なかなかのイケメン君、かつ将来楽しみな逸材とみた。
さて。ペース不問のフォーム重視で坂をのぼる。途中、宿泊先の応援団、ひとみさん、シズコさんにオサムさん(仮名)らと他大勢から応援をもらう。皆さんいってきます!と手を振りながら応える。
少し暑くかった。坂を進んでいくと私設エイドを含めいくつかの補給を受け取ることができた。口に半分含んで、残りは頭や首にかけた。
昨年、坂の途中にある常設の公衆トイレに寄って用を足し、屈伸なんかしてすこし脚を休めた。あのときは用も足したかったが、脚の方がヤバく吊りそうだった。今年はむしろ用を足したかったが、スムーズに走れていたので脚を止めたくなかったので止まらずに進んだ。
坂のピーク、途中にある表示看板から推測するに海抜50mぐらいの高さからは海の水平線まで見渡すことができた。晴れ渡る空の下、島の風景がパノラマで展開する。続く下りのアスファルト道には、選手と道案内のスタッフが小さく見えた。
文化財の家屋の前を走るコースは道が悪い。昔のコンクリート道かな。ところどころ剥離して凸凹している。道幅も狭く選手が3人並べるぐらい。その道の脇には、珊瑚を積み上げた肩ぐらいの高さの黒い塀があった。木々が茂っいるその一帯は相応の時代を超え、今に佇んでいるようにみた。
エイド過ぎると砂糖キビ畑を左手にして緩やかな長い上りを走る。遅いなりに歩を進める。ようやくたどりついた坂のピークには、本大会プロデューサーであるチームゴーヤーの千葉さんがにいらした。軽く会釈して坂を下った。
穂が稔る田んぼの集落を超えるとエイドが現れた。脚をとめてスポドリをリクエストすると中学生ぐらいの女の子がはしゃぎながら手渡してくれた。本人は覚えてすらいないだろうが、屈託のない元気をもらう。このあたりで往路の半分、5kmを通過する。
時折、折り返してくるランナーに目をやりながら黙々と進む。エイド以外での沿道の声援はほとんどない。他の選手の息遣いや足音もない。うっそうと茂る木々に囲まれたアスファルトを走る。フォームに集中しつつ、昨年の記憶と重ねあわせる。
上り坂はキツい。今こうしてコースを思い返しながら文章に落としていると、坂が多いではなく平坦がないことに気がついた。今更だけど。沖縄本島もそう。隆起した高台の一部に平坦ができる要素は少ない。キャプテン殿と話していても平地はないと言い切っている。そうだ平坦を期待する方がどうかしているのだ。
ランの折り返しが見える。そのすぐ先はT2というか仲田港、つまりゴールだ。マイクの音声が漏れ聞こえてくる。折り返しを廻り計測マットの上を走る。残り10㎞。時計で1時間は過ぎていたと思う。もう1時間、いや、復路は下りが勝るのでもう少し早いか。
以降、後続が現れる。見知らぬ選手とのエールを交換、チームメイトらとのハイタッチ。お互い励みになる。
産業センターや小中学校へ向かう激坂では少しぐらい歩いてよいと思っていた。ところがの止まることなく上りきった。しかしそのあとが案外長く感じた。
相変わらず、ひとみさんらのいる宿の前の応援ブーは盛りあっている。おかえり!とみなさんから声援をもらう。ぼくは下りの勢いを借りて陸上競技場へ向かう。
競技場のグランドを半周してフィニッシュゲートのゴールテープを切った。4時間48分台でのゴール。終わってみればあっというまにだ。それに昨年よりもしっかり走れたので満足だった。
(ラン2時間、フィニッシュ4時間48分)
その後。競技所でチームメイトのフィニッシュを待ち、チームフラッグと共に皆と同伴ゴールをした。時々応援の小学生らの力もも借りる。特別な場所の、特別な1日。心から楽しむことができた。(ひとまず終わり)
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