2015年9月29日火曜日

第14回 越後湯沢コスモスハーフマラソン 2015.9.27


 第1ウェイブの真ん中あたり、いつものようにほど良い緊張感を持ってスタートの号砲を聞いた。スタートまでは周りと歩様を合わせて進み、ゲートのセンサー通過からは息をつくるつもりでランナーの群れを縫うように走る。
 あまり周りをキョロキョロ見ずに、視線は前方の道路に固定して走り続けた。アスファルトは今しがた雨が降ったように黒く濡れている。入りの1kmは4分30秒だった。
 2km、3kmと進むにつれ発汗著しい。気温は20℃前後にかかわらず、サンバイザーのツバ先から汗が滴り落ちた。これはちょっと用心と思い、最初のエイドでスポドリを口に含む。そこから左折するとコースは山道となり、上り下りの激しさが徐々に増していった。
 上り坂の途中、5km表示を通過した。辛うじて25分を切っていた。ペースが遅い。それは上り坂の所為にして、まだ始まったばかりだと気持ちに折り合いを付ける。

 大源太(だいげんた)までは緩やかな上りが続く。相変わらず発汗が著しく、思うようにペースが上がらない。一緒に走るランナーに抜かれることはあっても、抜くことはなかった。焦りが少しづつ不安に変わる。調子がよくないかもしれない。ただ「調子」という安易な言葉で片付けてしまっていいのかはよく判らないでいた。
 ようやく上り坂が終わり下り坂に入った。トンネルをくぐるその少し前に、右足の靴紐が解けたことに気がつく。背後を走るランナーから、靴紐が解けてますよ、と声を掛けられる。僕はランナーの群れから外れ、道端に寄って紐を結んだ。焦る気持ちを少しでも和らげる意味もあった。そう言えば、去年は解けた靴紐をほっておいてそのまま走ったっけ。
 下り坂は続いた。靴紐を結んだことを頼りに思い切りくだる。一歩毎にズシリと足首と大腿部に振動が伝わってくる。昨年この辺りはキロ4分を切った。今年は10秒ほど遅れて、鬱蒼とした濃い緑に覆われた山道を駆けおりた。

 山間部から里へコースは続く。下り坂をうまく利用してスピードに乗りたいが、思うように身体が反応してくれない。多少息も苦しい。辛うじてキロ5分を切る程度のペースに留まってしまう。
 小刻みな上り下りが現れる。視線を濡れたアスファルトに固定しながらフォームを点検する。腕振り、腰の高さ、歩様。それぞれを何度も執拗に。そうすることで走ることに集中して、何か変化が起こることを期待した。
 10km通過は49分台。今日は難しいな。不安が諦観に変わる。じわじわとネガティヴな思考に取り込まれていく。するとパタパタと左足から音が聞こえた。今度は左脚の靴紐が解けていた。溜め息が出そうになる。すぐに側道に寄り、解けた紐を結び直す。しゃがみ込んだ前をいくつかもの足音が通り抜けていく。ぼくはすぐに立ち上がり、その足音達を追いかけた。

  下り坂の勢いを借りながら5分を切るペースで進んだ。コースはスタート地点に戻り13km地点を通過。1時間4分台。リタイヤしてしまうことを想像してみたが、ここで走るのをやめる勇気と、レースを投げるのに相応しい理由が見つからなかった。あと残り8km。維持できるこのペースで進もう。この時は悪くてもキロ5分ぐらいで進めるだろうと高を括った。ただそれが容易でないことは何となく想像できた。けれどやっぱり走るのをやめる訳にはいかない。
 下り坂が続いている間は何となくごまかしが効いたが、上り坂になるとペースはガクッと下がった。脚にきているというやつだ。
 そんな上りの道すがら、突然、名前を呼ばれハッとする。同級生のHだ。前日SNSで簡単なやり取りをしていたが、まさかこんなところで!と思いつつ、ぼくは咄嗟に合図を返した。少なくともカッコいい姿ではないので、バツの悪さを感じたけれど、思いがけない声援が背中を押した。前に進む力に変わる。

  高架橋を渡り、上り下りが何度となく続くー畝った通りの駅前の商店街へ進んだ。消化する距離に比例するようにペースは落ちていく。何度か諦めて立ち止まろうとしたけれど、そうしたらそこで全部が終わってしまうような強迫観念が働いて、それだけは許さなかった。
 越後湯沢駅前でM谷さん、商店街の折り返しでAkiちゃんを見かけた。どちらも声を掛ける間も無く通り過ぎて行く。
 昨年もこの通りは辛かった。力を出し切って頑張るという点では似ているが気持ちが対極、正反対だ。辛いけど楽しい、ただ辛いだけ。去年は開いていたが、今年は完全に閉じている。そんな感じだ。

 再び高架橋渡る手前、エイドでスポドリと水をもらい、水は頭から被った。そうすることで何かが変わるかもしれないと思ったけれど、何も変わらなかった。シャツの背中が濡れ、ヒンヤリと冷たくなっただけだ。なす術もなく、打ちひしがれたようにコースの一番左をトボトボと走った。残り3kmを切ったと頭で理解していても、ペースを上げる元気はなかった。ならば少しでもは楽しもうと思ってみたけれど、気持ちが不貞腐れていて切り替えられない。ただゆっくりと進むことしか出来なかった。左腕のガーミンはキロ6分のペースを示していた。
 ようやくゴールが見えた。ひとまず終了だと思うとホッとした。ぼくは変わらない足取りのまま、ゴールの真ん中を通りフィニッシュセンサーを踏んだ。時計は1時間49分。脚を止め、膝に手を置いた。それから何事もなかったように、再び歩き出そうとすると大腿部が重く、鈍い痛みを感じた。

 週末にアップしたブログの締めに、昨年の自分と勝負だ!と締めた湯沢コスモスハーフマラソン。結果は大負けだ。スタート前、ゲストの千葉すずさんが、マラソンシーズン突入の秋の初戦、皆さん足慣らしのつもりで気軽に走って下さいね、と話していたのを思い出し、その言葉にすがる想いになった。次走に繋がるレースとはとても言えない内容だが、いくつもの大会に出ていればこういう事もあるのだろうと、ありのままを受け入れながら、日々のトレーニングの中で原因の糸口を掴もうと思う。次走は新潟シティマラソン、今度はフルマラソンだ。(了)

2015年9月26日土曜日

トレーニング'15.9.21〜9.25 (レース週)

 9月4週のトレーニング
テーマ :ポイント練習、時間走とペース走。

月 島ラン30km ジョグ3時間20分

    スイム1,000m+α (50m、70秒インターバル10本、ドリル他) 30分
火 アクティブレストスイム1,400m+α (100m×6、50m×10、ドリル他) 40分
水 ラン16km 12km.4分50秒走 4kmジョグ 80分
     バイク40km 水原〜290号線〜出湯 90分
木 ラン12km 5分30秒ペース 65分
金 休養

週の振り返り 
 シルバーウイーク3日目。K夫妻とジョグで島2周。途中、Kねこさんとすれ違ったり、M谷さんに抜かれたり。リレーのダメージが色濃く残るハムを引き摺るように3時間オーバーで30km。
 午後はアイシングを狙ってプールへ。プルの抜手はズボンのポッケから手を抜く様に、を呪文の様に繰り返し、ポッケのある位置までしっかりかいてはスッと抜き、キャッチは水を丸めとるように前体重で…。気は早いが来年に向けた泳力アップを目指し基本動作のおさらいをやった。
 そして連休最終日は湯沢コスモスの確認走。いつもの12km走とコースを変更して、少し起伏のある放水路コースを走る。欲を言えば40秒台でいければ良かったが、まぁ練習走としては上々な方だろ。本番は昨年の時計、ネットタイムの1時間37分越え並を目指すつもりだ。ライバルは過去の自分だ。

 9/25までのRUN距離…178km(トレ時間/週…8時間30分 程度)

2015年9月24日木曜日

村上・笹川流れ国際トライアスロンのこと

 AM7時集合。ファイターズさんと2人でチームメンバーが出場する村上トラの応援に行く。もちろんバイク自走だ。

 明け方の雨で路面は濡れていた。気温も低い。雲の切れ間からわずかに朝陽が覗いていたけれど、雲行きは怪しい。すぐに雨が降ってもおかしくないような空模様だ。そんな中、ファイターズ&シグナストレイン出発。比較的、車通りの少ない道を選んで村上へ向かう。お互いに引き合いながら30km/hあたりをキープして黙々とペダルを漕いだ。村上に近づくにつれ天候が崩れていく。風が強くなる。ぼくが応援に向かうことの因果関係を自分自身で疑うほどだった。ひょっとしてスイム中止か?
 荒川を渡ったところで、しばしコンビニ休憩。ファイターズさんの持参した大会コースマップで応援ポイントを相談して、再び会場に向かった。

 トライアスロンのスタート会場に到着。晴れ間が覗いていたが風があった。
 会場には外国から参戦する選手や男女エリート選手が多く、今まで見た大会よりも一段と華やかな印象だ。

 海の向こうにポッカリと浮かぶ粟島が見える、そんな風光明媚な景色の中、色鮮やかなブルーとホワイト基調のデコレーションに覆われた特設会場が大会を彩っていた。会場そのものがカッコよく、エリートの決戦仕様のバイクに興奮した。アドレナリンが分泌されるウズウズしてしまう。何故エントリーしなかったのだろうと少し考えてしまった。


 大会が始まった。トランジションのバイク、ランの出発口の目立つ場所に陣取ることに成功した。これで皆に声援が送れる。
 バイクスタートはすぐに14%ほどの急勾配を登らなくてはならない。決して楽ではない。バイクスタートに関わらず落車やトラブルなど目の離せないシーンがいくつもあった。
 坂を上る直前、友人や家族から声援を受ける選手も少なくはなく、皆一様にペダルを力強く漕ぎ出していった。潟鉄メンバーの全てを見送って彼らの無事を待った。



 エイジのバイクが無事に戻ってきた。次々とゲートへ吸い込まれたかと思いきや、お次はランで坂を駆け上がっていく。時計を見計らい、ぼくらはフィニッシュ会場の市役所へ移動した。この頃になると陽射しには充分な力が感じられ、直射を浴びると汗が滲み出るようだった。観戦する僕らでそうなのだから、選手たちはもっとだっただろう。

 彼らの冒険の終わりを告げるランの直線コース。ゼッケンナンバーと名前が呼ばれ、出身地やエピソードなどが場内のアナウンスによって紹介され、祝福のメッセージが添えられる。
 沿道のぼくらは一様に、ラスト!とかガンバ!など、誰彼なく声援を送った。潟鉄メンバーもそれぞれいい顔でフィニッシュを迎えた。


 ゴールした選手で賑わうフィニッシュ会場では、応援したぼくらにもお裾分けが許されていた。昼飯代が浮いたねと、ファイターズさんとほくそ笑んむ。一通り腹ごしらえをしてぼくらは帰路に着いた。
 帰路は追い風が手伝い、ファイターズ&シグナストレインはave.35km近くをキープした。走りながら今年一番のマジ走りかもしれないなと思った。脚を余すことなく使いきるつもりで漕いだ。それはきっと仲間たちの頑張っている姿を目の当たりにした影響に違いなかった。
 選手のみなさんお疲れさま!そしてファイターズさん、ありがとうございました!
 思いがけず楽しい1日だった。







2015リレーフルマラソン in新潟市陸上競技場のこと。

 世間では5連休の初日となる土曜日。午前中に仕事を済ませ、電車で陸上競技上へ向かった。
 リレーフルマラソン。その名の通りフルマラソンの距離を数人で襷リレーするイベントだ。1周400mのトラックを全速で走ればちょうど良いポイント練習になるだろうと思い参加することにしたのだった。

 ぼくらのチームは豊栄走友会からゆうこりん、GOさん、ヤッチャン、M谷さん、アキちゃん。それからトキランからK林さん、H川さん。H川さんは諸用のため少し遅れて合流する。つまり女性6名に男2名が加わった男女混合8名のチームだ。
 そして気が付けば仮装チームだった。ゆうこりんとGOさんはトキをイメージしたピンクのコスチューム。アキちゃんはパンダ、K林さんはケーキの着ぐるみ。着ぐるみで走るなんてなかなか出来ない。ぼくはプリンの被り物の担当だった。M谷さんとヤッチャンはノーコスプレ。差し詰め仮装チームの本気走り担当といったところだ。欄外チームの出来上がりだ。

 市長の挨拶など随分しっかりした開会式を経て、予定通り大会は16:00スタート。第一走者はM谷さん。取りあえず1周毎で襷を繋ぐオーソドックスな作戦だ。第二走者はぼく。襷を受け取るやすぐに「プリンー、ガンバレー!」といくつもの声援を頂く。誰にでもわかるのがプリンのいいところかもしれない。声援を受けるとは思いもよらなかった。

 続いてケーキのk林さんへ襷を渡す。大きな歓声が沸く。着ぐるみなのに速い!笑いも混じる。走っている本人は半端なく辛いはずだ。それからアキちゃんパンダ。これも速い。向こう正面、直線で数人を抜く。さすが実力者らしい(パンダ)走り。そしてヤッチャンを挟んで、トキの格好したゆうこりん、GOさん。ピンクTシャツをトキ色になぞらえたコスプレだ。これはちょっと微妙かと思いきや、声援がいくつか聴こえる。帽子に気が付けばそれと判るように上手に作ってある。


 チームは順調に襷をつないだ。そうして予告通りH川さんが到着。彼女は黒いメイドのコスプレだった。会場到着から早速、襷を繋ぐ。会場のアナウンサーもすぐに気がつき、仮装チームにメイドが加わりました〜、とのアナウンス。しっかりした仮装で走っているのは、ぼくらのチームだけなので簡単に見当はつくのだ。

 結果は3時間4分、43チーム中35位でフィニッシュ。残念ながらサブ3には届かなかったが、無事に皆で伴奏ゴール。そして狙い通りの「大会を盛り上げたで賞」をいただき、みんなで記念撮影。


 結局、ぼくはトラックを17周。途中から2周縛りになり1周を1分半、2周800mを3分狙いで走り続けた。なかなか時計はその通りにはいかなかったけれど、ハムを十分に追い込む事が出来た。筋肉痛間違いなしだ。
 それにしても思いがけず楽しいイベントだった。たまにはこういうのもアリです。
 チームのみんな、楽しい時間をありがとうございました。(了)



2015年9月20日日曜日

トレーニング'15.9.14〜9.20

9月3週のトレーニング
テーマ :ポイント練習

月 休養

火 朝ラン5km 6分〜4分半ビルト走 28分
     帰宅ラン20km 5分30〜40秒 120分
水 休養
木 朝ラン10km 6分 60分
金 休養
土 リレーマラソン7km アップ+トラック17周
日 バイク100km (村上トライアスロン自走応援) 3時間半

今週の振り返り 
 火曜は帰宅ラン。いつものルートに少しアレンジする。コンビニ補給を織りまぜながらペース固定で20km。背中のリュックにもう10kgぐらい重りを入れて走っていれば上出来の内容だった。
 そして翌水曜日。脚が怠い。木、金曜の夜はノートトレ確定なので、完全にお休みすることに抵抗を感じたが、翌朝トレの内容でカバーすることで折り合いを付ける。
 シルバーウイークは楽しみながらトレーニング出来るイベントが盛り沢山。来週の日曜日は湯沢コスモスなので、そこをわきまえてコンディションを整えるつもりだ。

 9/20までのRUN距離…120km(トレ時間/週…7時間程度)

2015年9月14日月曜日

第27回佐渡国際トライアスロンBタイプ ラン〜フィニッシュ編

 ランへのトランジションは落ち着いていた。バイクジャージを脱ぎトライスーツになった。そしてここでもプチトラブル。背中のジッパーが壊れたようで閉まらない。二度ほどチャレンジしたがダメだった。背中が空いてるのは変じゃないかなぁと考えたが、どうすることも出来ないので放っておくことにした。ソックス、ランシューズを履き、ウエストポーチを装着する。そしてポーチからアミノ酸顆粒を取り出して口に流し込む。サンバイザーをしっかり被り準備完了。雨の中、ランパートの始まりだ。
 ちょうどこの時、日本選手権トップの選手が会場に入ってくるアナウンスが聞こえた。
 お帰りなさい。それでは、いってきます。そんな心境だった。
 ぼくはトランジションからランコースへ向かった。

 ほどよい興奮と、ZOOTのランシューズのお陰で走り出しは楽だった。練習ではこうもすんなりと脚が出てくれない。序盤は足慣らしのつもりでタイムにこだわらず進んだ。
 商店街に出ると、沿道から次々に、いってらっしゃい!の声が掛かる。そうだ、またここに帰ってきて笑顔でフィニッシュしなくちゃならない。ぼくも、いってきますの挨拶を返す。
 最初の1kmは5分30秒。バイパスに出る。一体どこにへ向かうのか気になりながら誘導に従って進む。
 2km通過は5分10秒台。このまま調子よく行けるような気がした。3kmは5分台。調子よすぎかなぁと思っていると、後ろからポーンと背中を叩かれる。よっ!まるで道端で会うかのように、A木さんが笑顔で声を掛けてきたのだ。ぼくは唐突に声をかけられたことと、それがA木さんだったのでかなりビックリしてしまい、エーッと大きな声を出してしまった。
 A木さんは何事もなかったように、いつもの笑顔を残しながら前を行く。追いかけようと加速したが、ぼくには難しいと思いあっさり諦めた。彼の背中がちょっとずつ小さくなっていく。

 そもそものぼくのランの計画はキロ5分40秒ペースなのだが、この感じなら20秒台は狙えそうだと思った。なので最初10kmぐらいまでは30秒を狙って行ってみて、後半に上げることにしよう。ここからはネガティヴ走だ。
 ぼくはいつものように効率的なフォームを心がける。骨盤を前に突き出すようにして、肩を落とし、ちょっと俯き加減で前傾を意識する。濡れたアスファルトを見つめ続ける時間が長くなる。

 6km過ぎあたり。ふっと顔を上げると目の前にT邊さんを発見。すれ違いざまに声援を送る。いつも柔和な表情の彼が、とても真剣な表情に変わっていた。
 灰色の空に降りしきる雨。取り立てて寒くはない。ただ気になるのは濡れたシューズの頼りない感覚ぐらいだった。

 折り返しが待ち遠しく、そこまでがとても長く感じた。8kmを過ぎ、交差点を左折してから、大きくうねるようなアップダウンが続く。そして10km手前、先ほど追い抜かれたA木さんが折り返してきた。A木さんから声援を頂く。次いで12kmあたりでフェマンさんとハイタッチ。フェマンさんは余裕の表情でこの状況を楽しんでいるように見えた。ベテランの貫禄だな。そしてすぐ後ろにタカさん。大きな声でぼくの名前を呼びながらすれ違いでハイタッチ。元気をもらう。思わず笑顔になった。

 折り返し以降、下り坂を利用しながらペースアップしようともがいたけれど、その想いとは裏腹に、身体が重く感じる。無理せずキープするのが賢明か。シューズが濡れてできた靴擦れが気になり、両足の小指と、特に利き足のヒラが着地のたびに痛み始めた。

 ゴールはもうすぐだと呪文のように繰り返す、あと6km。腕のガーミンのキロラップのアラームが鳴る。時計に目をやる。ペースは20秒ぐらい落ちていただろうか。あと5km、なんとか粘ろうと思いきや、あれ?あと6kmじゃん。どこかで距離を見誤っていた。
 更にペースが落ちていく。キロ6分に割り込みそうだ。脚に鉛を巻いているような感じだ。エネルギー切れか。さっきの時計の見間違いもそこから来ているのかもしれない。次のエイドまで距離はある。ただ気持ちはしっかりしていた。とにかく効率的に楽に脚を動かすことに集中する。

 交差点を左折する。再びペコわとさんを発見。雨具を着てバイクに跨っていたが一目でわかった。ぼくを発見して「おー、はやーい!」ぼくの耳にはそう聞こえた。ただ何か返事を返したかはよく覚えていない。
 それから骨っ娘さん、すぐ後ろにオニバスさんを発見。ハイタッチする。ナイスラン!と声をかけたと思う。
 あと残り3,4kmのバイパスの直線、Aタイプの先頭ランナーとすれ違う。まるで別の次元の走りに見えた。さすがAタイプのトップ、僕とは格が違った。
 少しでも効率的に走ろう、その事だけを考えながら脚を動かしていた。エイドで口にしたコーラが効いてくるまでの辛抱だ。すると反対車線から大声でぼくの名前を呼ぶ声がした。H澤さんだ。満面の笑顔で近づいてきてタッチ。元気をもらう。あと少し、頑張らなきゃと思った。
 商店街に入ると、お帰りなさいの声で迎えられた。アーケード沿いを進んでいると、背後からAタイプのバイクフィニッシュを迎えようとするT中さんに名前を呼ばれる。さすが速いなぁと感心しながら、T中さんファイトー、と大きな声で返す。
 皆、去来する様々な想いを胸に秘め、前に進もうとしているのだ。ぼくのなかで何かが変わろうとしていた。

 靴擦れが痛む。エネルギーは切れ切れだ。けれど不思議なことに、このまま走っていたいと思った。もう一度、バイクに乗ってもいいとさえ。それはゴールを目前にした奢りなどではなく、心底思った。これで終わりだなんて勿体無い。今この、ぼくを取り囲むすべての状況がとても愛おしく思えた。

 ラスト、フィニッシュゲートに向かって力一杯駆けた。道が雨でぬかるむ。
 ゴールテープを着る瞬間、ぼくは両手を大きく手を挙げた。

《結果成績》総合165位
 スイムラップ 42:03 (241位)、バイクラップ 3:45:04 (205位) ランラップ 1:58:06 (139位)



トレーニング(レース後週)'15.9.7〜9.13

9月2週のトレーニング
テーマ :疲労抜きとラントレ開始

月 休養

火 朝練カブトヤマラン 4km 30分
     スイム800m+α 40分(100×4・2分20秒サークル、キック、各ドリル)
水 ラン10km 6分半〜5分半 60分
木 休養
金 アクティブレスト 朝ラン5km 26分 アップから5分走
土 休養
日 島ラン30km 6分半〜5分20秒 3時間半
     スイム800 m+αとドリル 40分

今週の振り返り 


 佐渡トラ明けの月曜。時間を追うごとに、身体のあちらこちらにダメージが現れてくる。ピークは月曜の夕方。この日は地元のお祭りが催されていて、その喧騒はまだ覚めやらぬ日曜の歓喜をうっちゃるには丁度良かった。
 今週は仕事の都合も重なってウィークデーはほぼノートレ。
 日曜は島ラン。ヤンバラーズと走友会の合同練習。結構な人数が集合した。その中に、今回はじめましてのH野さん。また新しい仲間が増える。
 1週目は6分程度、2週目は後半から5分20秒ぐらいで走った。思ったほどダメージなく、ウィークデーの休養が佐渡のリカバリーとなったようだ。
 夕方はプール。イージー&ハードの組み合わせで100m、50mをそれぞれ何本かこなす。練習の終盤、A木さんを発見しておしゃべりをする。佐渡トラ以降、痛めている箇所が思うようにいかないらしい。よって秋のスケジュールは大きく変更しそうだと、いつもの笑顔で話されていた。心中お察しいたします。

 9/13までのRUN距離…78km(トレ時間/週…6時間半程度)