2019年4月16日火曜日

第35回宮古島トライアスロン 当日編(2019.4)

 AM5:20分。スイム会場へは専用のバスで到着。明け方の外は暗く土砂降りの雨。預けたバイクはカバーを掛けているので心配はしていないが、そもそも雨を想定していないので自分が雨を凌ぐ手段がない。そこでウエットスーツにスイムキャップを被り準備開始。体も冷えないし具合はいい。
 この雨を受けて一部ではデュアスロンが囁かれていたが、AM6時、トライアスロン実施の宣言がなされ会場には歓声が沸いた。ぼくは、あたりまえに開催されると思ったので逆に意表を突かれたような気になる。確かにひどい雨だった。運営もぼくらと同じように、ひとつひとつ物事に対峙し、判断をしているのだなぁと思いながら準備をすすめる。

 スイムは約1,500名の一斉スタート。自分の泳力を考慮してスタート位置を取るのだが、たとえば泳力指標となるスイムアップタイムを示すプラカードがない。頼りのアナウンスも雨のせいで機器にトラブルが生じ拡声器を通じて行われるが、浜の真ん中にいたぼくは、ほとんど聴き取れなかった。そうこうしている間に7時15分、ぼくはいつものスタート前のルーティーンを行いながら水辺へ歩き出す。レース開始だ。

 とにかくバトルがすごい。ぼくがいたところがまずかったのかもしれないけれど、まぁ大変。コース幅もそう広くないせいもある。ぼくにとってOWSは今年初で、幾度となく手を休めフロートを余儀なくされる。今までの経験したバトルでは一番。宮古島に出場するならバトル対策をした方が良い。少なくとも2度は沈められた。
 (スイムアップ 1:00:15)

 バイクパートへ。スイムラックに「To Swim Finish」とプリントされた袋に、あらかじめバイクに必要な道具を入れておく。スイムアップ後、割り当てられたラックから、道具を取り出したあと、スイムで使ったウェットやら何やらを袋に突っ込んで、バイクラックへ向かう途中、待機するスタッフに渡す。
 このとき、ぼくは運悪く袋に入れた道具を通路にぶちまけてしまった。タイムロス云々より、後方の方々にご迷惑を掛けたこと、この場を借りてお詫びします。

 バイクスタートは土砂降りだったが、ぼくにとって叩くような雨粒は発奮材料なのでまったく気にならない。
 宮古島市街地を抜ける頃には、雲が去りあっというまに晴れ空が広がる。空が青さを取り戻していくと同時に、露出した背中や肩がジリジリ焼けるのがわかる。これは!と思いエイドではかけ水をオーダー。するとエイドの子供達のボトルの受け渡しが絶妙で、速度を落とさず受け取ることができる。即興の連係プレーが決まったみたいになり力が湧いた。きっと彼らはそういう練習しているのだろう。彼らの動きは賞賛に値する。

 伊良部大橋、池間大橋と海上の橋をバイクで走るのは最高の気分だ。思わず声が出る。風向きは、概ね行きが追い風で戻りが向かい風。35mmのリムは風の影響は全く気にならなかった。
 池間から東平安名崎(ひがしへんなざき)灯台まではひたすら向かい風。ぼくは前乗り気味でペダルを踏みながらグイグイ進み、冬の間デッドリフトでハムを鍛えた効果を感じずにはいられなかった。レース後に教えてもらったのだが、この区間の向かい風は毎年恒例らしい。

 2周回目となる140kmを過ぎたで再びアゲインストの風を受けることになるのだが、ここは随分しんどかった。が、そこは無理をせず、多少速度が落ちても体力を消耗しないようにペダルを踏んだ。13時30分頃にランに入れる目算が立ったので気持ちは上がった。
 (バイクアップ5:09:20)

 そしてラン。絶対に歩かない、そう決めて臨んだ。
   陸上競技場を出たすぐのところにエイドがあり、俵おにぎりをそれぞれの手に持って無理矢理に喉に通す。そこから1kmほどある下り坂の惰性を利用してランの動きを呼び戻す。
 事前のアドバイスの通り、ランの入りはゆっくりと決めていた。追い抜かれる度に不安になったが自分のペースを維持、余力を持ってキロ5分後半、あるいは6分に近い速度で、何かのタイミングでペースを上げらればと機会を伺いながら市街地を抜ける。前半は余力を感じていたので、フルマラソンの距離に関わらずこれならイケるかもと楽観していた。
 コースは緩やかなアップダウンの繰り返しだ。曇り空から時折、強烈な陽が射す。日焼けした身体が火照るのでエイドでは氷水をたっぷり含んだスポンジとスポドリを受け取った。途中、スコールがこないかなぁと雨乞いをしたが残念ながら叶うことはなかった。

 折り返し(ハーフ)は2時間12分。ペースアップできるほどの余力はなかった。そこから確か23、4kmあたりだった、頭痛と吐き気を覚える。熱中症だ。状態が酷くならないことを願うだけだった。またちょうどそのあたりに急勾配の上り坂があり、絶対に歩かないと決めていたので、そこは意地でも歩かなかった。振り返ればこのレースで我を通した唯一の場所だったかもしれない。

 30kmを越えてからはスポンジとコーラで繋いだ。用意した既製品の寄せ集めのスペシャルドリンクが精神的な頼り綱になり、実際、弱った身体に効いた。
 残り10kmを切る頃、18時前のフィニッシュを目標に脚をひたすら前に出した。ポツリポツリ沿道から応援をもらうのだが走る力になる。

 市街地に戻ってきた途端「ワイドー」の声援が飛び交うように耳に入ってくる。名前も度々呼ばれる。私設のエイドでは、ぼくのペースに併せて走りながら氷を渡してくれる方もいた。相当弱ってみえたのかな、これはとても嬉しかった。

 ラスト。ゴールまでの道のりはなだらかな坂。少しづづフィニッシュの競技場が近づいて来る。もう少し。そして遂に競技場のゲートを潜り、スタッフの整列する前を、声援をもらいながら走り抜ける。フィニッシュはすぐ目前。自然と笑顔になる。ぼくは競技場のコーナーを曲がり、ゴールへ向かう直線のど真ん中に位置して脚を進める。MCがぼくの名前を呼ぶ。後ろから「ワイド、ワイド」と子供たちが太鼓を叩きながら伴走してくれる。ゴール!フィニッシュテープを両手でもち高く掲げる。憧れのフィニッシュポーズ。そして回れ右してコースに一礼。やっと、終わった。
 (マラソン4時間31分)
(…もうちょっと続く)
エリートK君と。
by K嫁スポーツ撮影

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